第四十四話 薊達の決意その九
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「武器を出せること」
「そのことがなのね」
「ずっと不思議なんだよ」
「それはもうね」
「魔術か?」
「マジック?」
裕香はあえて英語の呼び方を使った。
「むしろ」
「マジックか」
「まあ魔術って言えば魔術よね」
「だよな、魔術を英語で読んだだけだからな」
「そうよね」
「ただ。この場合のマジックはな」
どういった意味での『魔術』なのか、薊もわかっていた。それで裕香に対してそのことを言ったのである。
「手品、奇術だな」
「それになるわね」
「そうだよな、まあ奇術もな」
「そうしたこともね」
「魔術っていえば魔術だな」
それになるとだ、薊は眉を少し顰めさせやや俯いた顔で言った。もう既に七節棍はなおして手をフリーにしている。
「そうなるな」
「そうよね」
「まあこのこともな」
「謎よね」
「気になるっていえばな」
気になるとだ、薊は言った。
「あたし達って本当に何なんだろうな」
「一番気になることの一つはね」
向日葵がここで言った。
「私達皆孤児なのよね」
「実の親がわかっていないわね」
菫も向日葵に応える。
「誰も」
「本当に八人全員ね」
「力を持っている娘は」
「これって何なのかしら」
向日葵は首を傾げさせつつ言うのだった。
「何で私達皆ね」
「力を持っていて」
「それで親がはっきりしていないのかしら」
「幸い皆いい家族に囲まれてるけれど」
「それでも実のお父さんもお母さんもわからない」
「これってね」
「偶然にしてはね」
それこそ、というのだ。
「出来過ぎてる?」
「あまりにもね」
「こうしたことがどうしてかもね」
「わかるかしら」
「どうなのかしら」
「あたし達の本当の親とかはわからないんじゃね?」
薊はそこまではとだ、疑問形で返した。
「流石に」
「そうかしら」
「確かにこのことも普通じゃないけれどな」
「ううん、わからないのね」
「ああ、そればかりはさ」
「まあ。幾ら何でもね」
ここでだ、菊が言うことはというと。
「私達が姉妹とかはね」
「それは幾ら何でもね」
「ないわ」
鈴蘭と黒蘭が答えた。
「私達が実の姉妹であることはわかってるけれど」
「私達八人全員がそうだとはね」
「まずないわ」
「有り得ないわ」
「そうね、血液型がね」
それが、とだ。菊も言った。
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