第四十四話 薊達の決意その三
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「それも若い頃からのね」
「先輩のお祖父さんのか」
「うん、その頃から外見は変わらなかったみたいだね」
「先輩のお祖父さんの若い頃からか」
「四十年位前からね。既に百歳を優に超えていたとか」
「実際に幾つなんだよ」
薊は智和の博士についての話に首を傾げさせる他なかった。
「マジで仙人かもな」
「だからそうもね」
「言われてるんだな」
「確かな証拠はないけれどね」
「まあ怪人がいるからな」
それならとだ、薊は自分達が戦っている相手のことからも言った。
「仙人がいてもな」
「不思議じゃないのね」
「そうだよな」
裕香にもこう言うのだった。
「世の中何がいるかわからないからな」
「人間や他の生きものだけじゃない」
「科学で説明がつかない人達だっているだろ」
「怪人も仙人も」
「そりゃいるだろ」
「科学はこの世の全てではないよ」
智和がその科学についてこう言い切った。
「万能ではないよ」
「そうだよな、やっぱり」
「この世に万能なものなんてね」
「ないよな」
「そう、そんなものはないんだよ」
万能のもの、それは決してというのだ。
「絶対にね」
「それが絶対のことなんだな」
「万能のものがないことがね」
それこそが絶対のことだとだ、智和は二人に言う。それでだというのだ。
「それが絶対だから」
「じゃあ錬金術や魔術があっても」
「不思議じゃないよ」
「科学以外のものもか」
「僕はこのことをいつも言ってるけれど」
この世にあるものは科学だけではないということ、そして科学が万能ではないことをだ。そのことをだというのだ。
「そうした分野は否定出来ないよ」
「そういうことだよな」
「錬金術も魔術もかつては科学と同じだったし」
「途中で分かれたんだな」
「近代になってからね」
産業革命以降であろうか、十九世紀の科学もルネサンス期の人間から見れば魔術に他ならないものであろう。
「そうだからね」
「無下に否定してもか」
「いつも言ってる通りね」
「何にもならないか」
「全てのことはつながってるんだ」
こうもだ、智和は二人に微笑んで話した。
「科学にしてもね」
「魔術や錬金術もか」
「化学とも物理ともですね」
「あと数学ともだよな」
「そう、科学は科学だけで成り立っているものじゃないんだ」
ただそれだけで形成されている、そういうものではないというのだ。
「だからね」
「魔術や錬金術ともつながっててか」
「それを否定することはどうかと思っているよ」
「そうだよな、じゃあその博士は」
「そうしたことがわかっている人でね」
「それで魔術や錬金術にも造詣があるんだな」
「他の所謂オカルトと呼ばれる分野についてもね」
魔術、錬金術に関わらずと
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