§64 職業:引きこもり
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走るか比べれば大抵後者の方が速いだろう。つまり、そういうことだ。
「あー……」
アンドレアは言葉に詰まる。なんといえば正解なのだろう。何を言ってもどうしようもない手詰まり感が半端ない。
「「……」」
二人で沈黙する。何か言いたいが言い出せない。そんな硬直する空気を打破するのは、やはりなんというかどうしようもない阿呆であって。
「どぅあっはっは!!!!!!」
爆笑しながらドニが部屋に入ってくる。
「黎斗が、黎斗が、っはっはっはー!!!!」
死ぬ死ぬ死ぬー!!!!!!、などとステキな笑顔でのたまうドニに、近くの雑誌を投げつけるが――――黎斗の手前30cm程で落下する。それを見て更にドニが笑う。笑う。笑う。
「……」
「だははははははへぶぅ!?」
「笑いすぎだ阿呆」
流石に黎斗が可哀想、と判断したのかドニにアンドレアの掣肘が直撃。ドニの馬鹿笑いが沈黙する。
「いやーゴメンゴメン。でもさ、あのデタラメに強かった黎斗が今の発言したと思うとおかしくておかしくて」
まつろわぬ神と武術で張り合い神獣を片手間で葬る男が女子高生に追いつけない、というのがドニの中でツボに入ったらしい。
「はぁ……はぁ……いやー笑った笑った。笑いすぎて久々に死を覚悟したよ。……これで死んだら蘇生って有効なのかな?」
「んなもん知るか」
全力で馬鹿にされてる。すごく言い返したいが適切な返しが出来ない自分の語彙力に歯噛みして。
「違うそんなことで悩んでる場合じゃない」
恵那をどうやって追いかけるか、だ。まさか三輪車を使うわけにはいくまい。自転車に乗るには自分が小さすぎるし。
「ドニ、に頼むのはなぁ……」
今の笑いっぷりを見ていると協力してくれても土壇場で裏切りそうで怖い。確実に力になってくれるとしたら、スミスか護堂か、羅濠教主か。
(護堂に頼むのはなぁ。護堂にそんなこと頼んだら恵那が護堂に奪われそうだ、というのはまぁ半分冗談にしても。今トラブってる護堂にそんなん言えるワケないよなぁ)
どうひいき目に考えても「ふざけんな」とキレられて終わりだろう。自分が死闘をしている最中に女の子を追いかけたいから協力しろ、などと言われたらいかな黎斗でもキレる自信がある。
(とすると冥王か翠蓮に頼むしかないか)
どちらに協力を要請するか……
「最初は翠蓮に頼んでみるか」
やはりスミスを個人的な事情で連れまわすのは申し訳ない。それに翠蓮の方がなんだかんだ協力してくれそう、な気がする。
「女の子を追いかけるのに別の女の子に協力を頼むって……客観的に見たらただのクズだな」
自分で言っておいて冷や汗が流れた。しかも理
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