§64 職業:引きこもり
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見るんだ!!」
使命に燃える黎斗を、盛大にドン引きしつつアンドレアが眺める。後ずさりしたのを恵那は確かに目撃した。正直恵那も後ずさりしたい。かわいそうだからしないけど。
「……君も大変だな」
疲れたような笑みを返すことしか、恵那には出来ない。今回の黎斗は今までで一番ひどいのではないだろうか。普段は微妙で情けない、時々なんか恰好良い。日常なんか一人だと危なっかしくて目を離していられない。まったくもう、恵那がいないとどうしようもないんだからなぁ、れーとさんしっかりしてよ。まぁそこがれーとさんの良いトコなんだけどさ。それに普段は情けないくせに時々すごく頼りになるしその時はとっても素敵だし、ワイヤー操ってる時のサディスティックなワルモノ染みた笑顔とかそのギャップがまたもう――――
「恵那ー?」
「ひゃい!?」
気づけば眼前に黎斗の顔。さっきまで色々考えていたせいで接近に全く気付かなかった。気配察知の濃緑は自信あったのに本当にこの人は無駄な技術磨いてるなもう、などと言いつつ顔が直視出来ない。直前に変な事想像してたのが原因だ。でもこの程度で動揺していたら子種をもらうどころかお妾さんなんて夢のまた夢じゃないか恵那しっかりしなきゃダメじゃん。ってちょっと待って子種ってあの子種だよねあの子種ってことはつまり恵那がれーとさんの――――
「ッ〜〜!!」
「ちょ、恵那ー!?」
限界と化して顔を背ける恵那の背中に黎斗の声がかかるが、恵那はそれに気づかない。顔が真っ赤かもしれない、と思えば黎斗の方を振り向くことなど出来るはずがない。アンドレアにも顔を見せられない。窓から飛び降りて、恵那は駆け出す。
○○○
「お、おぅ……流石にエロゲー発言はマズったか……?」
「恐れながら王よ。年頃の少女の前でその発言は一歩間違えればセクハラかと」
沙耶宮馨辺りが聞いたら「違う。それもそうなんだがそうじゃない」と真顔で言いそうな発言だが、ここでその発想に行きつくには黎斗とアンドレアでは無理だった。恵那の心情を察する以前に黎斗が頭の悪い発言をしていたのだからしょうがない。
「……嬢を追わなくてよろしいので?」
「んー……」
微妙に口を濁す黎斗にアンドレアは内心「深入りしすぎたか」と焦るのだが、黎斗の真意は別にある。
「アンドレア卿。ここ、何回ですか?」
「ここは5階になりますが……」
それがどうした、といわんばかりの彼にとうとう黎斗は情けない事実を告げる。
「こっから降りれないんです…… ワイヤー駆使すれば降りれるかもしれませんが、降りれても今の僕の身体能力じゃあ恵那に追いつけないです……」
仮に恵那が身体強化をしていなくても。三歳児と女子高生、どちらが速く
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