第一部 学園都市篇
第4章 “妹達”
八月二日:『女と猫』
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通り気にせずに。触ろうとすると逃げたり怒ったりするだけなので、興味無さげにその脇をすり抜けて……そう言う時に限って、この『猫』という生き物は甘えた声で鳴き、刷り寄ってくるのである。
「はいはい、また明日な────ッイテ」
だからと言って、騙されてはいけない。女と猫の鳴き声とボディタッチほど、信用ならないモノはない。
猫達をあしらい、少し欲を出して撫でようとした掌。返ってきたのは猫パンチと唸り声、間を置かずに散り散り去り行く尻尾。
自分から刷り寄ってきたくせに、こちらがその気になれば掌返し。まるで、『気易く触るな、この痴漢!』とばかりに。
「これだから、全く────女も猫も可愛いんだよなァ。否、従順な狗もそりゃあ好きだけど」
フラれ男は苦笑いしながら、一応は誰にも見えないようにバイクを物陰でショゴスに還して影の平面に潜ませて。自室の鍵を取りだそうとして────漸く、違和感に気付く。普段はない、どうも代車らしき軽自動車が停まっている事に。
「これって……ハンディある人用のか」
物珍しさから、覗き込んだ車内の様子で理解する。普段見慣れない車の内部だが、それくらいは気付いた。
同時に思い出した管理人の言葉。『近々、新しい入居者が来る』という、撫子の言葉も。
「あ、お隣さんですか〜?」
「え、あーはい……」
と、背後から少女めいた声。随分と低いところから。いきなり邂逅かと多少緊張しつつ『いつもの通りにすれば良いだけか』と思い直して、握り締めた“兎脚の護符”から『話術』のルーンを頭痛と共に励起させて振り返る。
「始めまして、対馬で……って」
その瞳に、その姿は映る。ピンク色の髪に小学生と見紛うばかりの小駆には似つかわしくない岡持を抱えていた。
「こんばんはです、隣に越してきた月詠で……って」
同じく、それは対面の幼女……否、女性も。目の前の男の顔を見て──はたと、思い出したように。
「あなたは確か……対馬ちゃん? 上条ちゃんを助けてくれた」
「『ちゃん』って……あ、はい。その節はどうもです、月詠さん」
一週間程前に、火織にノされた当麻を送り届けた先の家主だ。そう──インデックスの『首輪』とやらを破壊する際に木っ端微塵になった部屋の。
それを思い出して、得心する。確かに
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