第一部 学園都市篇
第4章 “妹達”
八月二日:『女と猫』
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質が変わる。合点がいった、とばかりに。狂暴な、底冷えがするほどに。
「楽しみな話だ……」
醜悪なまでに整った笑顔で、『彼』は彼方を眺める────
………………
…………
……
西の空が茜色に染まる頃、第七学区の風紀委員第一七七支部を後にした人影がある。
長身で筋肉質な、亜麻色の髪のその男。背伸びをして背骨を鳴らしながら、歩く影だ。背後にて嘲笑う燃え盛る三つの瞳と、足下で血涙を流す無数の瞳が沸き上がる影を連れた男だ。報告書と始末書の二つを同時に書かされ、三度ほどあらゆる文字がゲシュタルト崩壊した男だ。
因みに、黒子は昼前に飾利が寮に送っていった。明日は大事を取って休むらしい、と言うかドクターストップが掛かった。本人も不承不承了解した……と思いきや、『ハッ……傷付き帰還したわたくし、それを見たお姉さまは真に守るべき大事なものに気づいて(以下略)』とか元気を取り戻してくねくねしていたが。
嚆矢の方も、誤魔化そうとした左肘の負傷をアッサリ見抜かれて、暫くは通院して診療となっている。『相も変わらず抜け目の無い人だ』と、大いに舌を巻かされた。
「ん〜〜……終わった終わった。さて、明日も早いし帰るか」
《ふむ、今晩の飯はそうさのう……うむ、この『牛ふぃれすてーき』とやらじゃな》
『てけり・り。てけり・り』
「巫山戯んな、んな無駄金が有るかよ。貯金もしたいし、今月は三万で乗り切るんだからな」
《節制など知らぬわ、金柑の手先め! 儂は牛ふぃれすてーきに決めたのじゃ!》
『てけり・り。てけり・り!』
「むっしー」
等と、端から見れば一人ごちる危険人物じみた具合で。包帯と簡単な固定だけが成された左腕を煩わしげに、尖らせた唇で掠れた下手くそな口笛など吹きながら。
「……なぁ、ロリコン先輩は一人で何を口喋ってんだろうな」
「あれじゃね、遂にロリコンの毒が脳ミソまで回ったんだろ」
「惜しい人を無くした……と思ったが、ロリコンだから別にどうでもよかったと気付いた」
「聞こえてんぞ、後輩どもが……暇なら付き合えよ、ハンバーガーくらいなら奢ってやるから」
バッチリそれを巨漢とスキンヘッドと学生帽の、後輩の男子風紀委員三人組に見られていたりして。
「ゴチんなりやーす。何すか先輩、今日は太っ腹じゃねーっすか」
「お前ほどじゃねぇよ、おむすび君。実は少し、良い事があってよ」
「どうせ白井に抱きつかれた、とかだろう」
「何だと黒眼鏡君、俺がそんな安上がりな男だと……なぁハゲ丸、アイツの能力『読心能力』だったか?」
「能力使わなくても分か
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