「コンクリ工場の話」
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小学時代、小学校の裏にあったコンクリート工場の事を、みんなで……
「生コンさん」
と、呼んでいた。 道路をはさみ、コンクリートの原料を運ぶダクトが頭の上を走っていた。生コンの脇はすぐに線路になっていて、引き込み線があり石材が運ばれていた。巨大な工場は、まるでラピュタに出てくる建物のようで時々、煙を吐き出していた。
「絶対に工場では遊ばないように!」
と、親や先生から言われていた。 実は、工場の脇に砂を貯めるところがあって、そこはアリ地獄のように、すり鉢になっていた。砂は、そこから工場へ引き込まれ、砕かれてコンクリートになるのだ。
「コンクリ工場の砂山で遊んでて、砂山に飲み込まれコンクリートになった子どもがいるんだよ!」
と、よく婆ちゃんに言われていた。砂山……
『でも、もう登ちゃったんだよな〜!!』
小学校に入って、すぐの事。僕とカミとホリの3人で、コンクリ工場の脇の砂山に登っていたのだ。今の時代では考えられないが、敷地には柵などないから簡単に入れたのだ。で、砂山に登って遊んでいると……
「こら〜!!入っちゃダメだろ!!コンクリになるぞ」
と、黄色いヘルメットをかぶったオジサンにえらく怒られた。だから、 いまさらながらに聞かされた、婆ちゃんからの注意にはちょっと怖くなった。
高学年のときだったか?コンクリートになった子どもの話しを読んだ記憶がある。(授業で読んだ気もする)母親が、息子がコンクリートになってしまい、そのコンクリートがどこへ運ばれたのかを探す話だったと思う。その話しを読みながら、すぐそこにあるコンクリ工場を見ると、さらに……
物凄い怖さを感じたのだった。
おしまい
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