つぐない
とあるβテスター、慟哭する
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向けて、好き、大好きと連呼するシェイリの顔は、その幼い顔立ちや、ほんのりと赤く染まった頬も相まって、今までに見た中で一番可愛らしくて───ち、違う、誤解するんじゃない!僕はロリコンなんかじゃないぞ!
「あ、あのさ、シェイリ───」
自分自身に対して湧き出たロリコン疑惑を払拭するべく、何とか話題を逸らそうと口を開いた僕は、
「だからね、ユノくん。オレンジとか、人殺しとか、そうやって自分を悪くいうのは……やめてよ」
「っ!!」
言われて、はっと息を呑んだ。
さっきまで好きと連呼していたシェイリが、今度は打って変わって、寂しそうな目で僕を見据えていた。
「ユノくんは自分が人殺しだからっていうけど、こんなの誰だって怒るよ。復讐したくなるよ。そんなの……当たり前だよ」
「………」
そう、なんだろうか。
サチを傷付けた奴らを、僕が殺してやりたいと思うのは。壊してやりたいと思うのは。それは、当たり前───なのか?
そう思ってしまうのは、あのもう一つのSAOの世界で、僕がオレンジだったから───人殺しだったからじゃ、ないのか。
あの時の感覚が───人を殺した時の高揚感が忘れられなくて、サチの復讐にかこつけて、自分が人を殺したいだけなんじゃないのか。
殺し合いに───飢えていただけなんじゃないのか。
「───だってユノくんは、さっちゃんのことが好きだったんでしょ?」
そんな僕の、浅はかな考えを打ち砕くように、シェイリは言う。
「わたし、わかるよ。ユノくんが本気で怒るのは、いっつも他の誰かのためだもん。ボスのことでディアベルくんたちと相談してたときも、ボスをやっつけた後、キバオウくんたちと喧嘩したときも。いつだって、ユノくんが怒るのは他の人のためだった」
「……そんな、ことは」
「そんなユノくんだから、さっちゃんを傷付けられたことがゆるせないんだよ。さっちゃんのことが、るしぇちゃんのことが、大事だったから」
「──!!」
───大事だったから。
その言葉を聞いた瞬間、僕の中で複雑に絡み合っていた感情の糸が、するりとほどけた気がした。
心の奥底で燻っていた何かが、みるみる霧散していくような気がした。
「……ああ、そうか」
なんだ───簡単な、ことだったんだ。
サチが死んでしまって。ルシェがぼろぼろになって悲しんでいて。
それで、僕が悲しくないわけがない。
だって。僕が守りたいと思うものの中には、とっくにあの二人も含まれていたのだから。
ルシェが冗談交じりにサチをからかい、白い頬を真っ赤にした彼女が否定する。
たまに怒ったような表情を見せることもあるけれど、本気で怒っているわけではなくて。結局、最後は二人して笑い合って。
二人を見ていると、僕もなんだか楽しくなってきて。こんな風に笑い
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