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とあるβテスター、奮闘する
つぐない
とあるβテスター、慟哭する
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で怒るようなことじゃないだろ……!?

「わたしばかじゃないもん」
「………」
大事なことでもないのに二回言われてしまった。
結構根に持っていたらしい。

「もうっ、ユノくんだって泣き虫のくせに。わたしのこといえないでしょー」
「うっ……!?」
ざっくり。拗ねたように言い放ったシェイリの一言が、僕の心に突き刺さった。
いや、確かにここのところの僕は、みんなの前で泣いてばかりいるような気がするけれど。
そういう時、決まってシェイリが慰めてくれて、余計に涙が止まらなくなってしまったりするのだけれど。
実は気にしてるんだぞ、これでも……!

「それにいっつもひとりでかっこつけて、いっつもひとりでうじうじして、いっつも損してばっかりで。いっつも無理して、結局さいごは泣いちゃって。そういうのをへたれっていうんだよー?」
「あぐ……」
「りっちゃんも言ってたよ、あいつはほんとばかだな〜って。なんでもかんでも自分が悪いって思いこんで、被害者意識のかたまりじゃねえかって」
「も、もういいよ!やめようよそういうの!いくら僕でも傷付くよ!」
「あ、あと、この前ユノくんがキリトくんのことで悩んでたとき───」
「やめて!聞きたくない!」
ざくざくざく。自慢の両手斧で僕の心を一刀両断するかのごとく、シェイリの言葉による暴力が次々と僕を襲う。
お、おかしい。僕の知っているシェイリは、ここまで容赦なく心を抉ってくるような女の子ではないはずなのに。
というか僕、そんな風に思われてたのかよ。リリアのことを散々言っておきながら、よりにもよって自分もヘタレだったなんて、格好悪い以前の問題じゃないか……。

あ、やばい、なんか憂鬱になりそう───と思った、そんな時。

「──でもね、ユノくん。わたしはそんなユノくんが好きだよ」
───不意打ち。
あんまりな言われように本気で凹みかけていた僕に、彼女からかけられた言葉は、まったくもって唐突極まりない───完璧な不意打ちだった。

「しぇ、しぇいりさん……?」
完全に虚を突いたシェイリの言葉に、僕の頬がカッと熱を帯びる。
せっかく少しはまともになってきた頭の回転が、今の一言で再び鈍くなるのを感じた。
そんな僕の様子を見てクスリと笑い、シェイリは続ける。

「いっつもかっこつけてばっかりで、だけどすぐに泣いちゃうユノくんが好き。へたれだけど、すごく優しいユノくんが好き。誰かのために真剣に怒ることのできるユノくんが、大好き」
うぐあ。
あまりにもストレートな物言いに、顔面の筋肉が変な痙攣を起こしそうになった。
な……、なんだこれ。新手の精神攻撃か何かなんだろうか。
だとしたら、悔しいけれど効果は抜群だと言わざるを得ないだろう。
突然の展開についていけずにあたふたするだけの僕に
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