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とあるβテスター、奮闘する
つぐない
とあるβテスター、慟哭する
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うけれど、そんなことを気にしている余裕もないほどに、僕はただただ慟哭した。

いっそ涙と一緒に、この胸の疼きも、身を焦がすような殺意も、全部全部、流れ出てしまえばいい。
そうすれば、すぐにいつも通りの自分に戻れるのに。
そうすれば───僕は楽になれるのに。


────────────


「だいじょうぶ、ユノくん?」
散々泣いて、叫び続けて───声も出せなくなった頃。錯乱する僕を黙って受け止めてくれていたシェイリが、おずおずといった様子で声をかけてきた。
僕はシェイリの肩にうずめていた顔を上げ、彼女に頷いてみせる。
まだ上手く頭が回らないものの、胸中に渦巻いていたものを全て吐き出したお陰で、気分はほんの少しだけ楽になっていた。

「……ん、今度は本当に大丈夫。……その、ごめん、なんていうか」
そのまま少し待ってから、ようやく僕は彼女に密着させていた身体を離した。
さっきまで僕を支配していた感情は徐々に収まり、少しずつ冷静になってくるにつれて、かわりに今度は、醜態を晒してしまったことへの羞恥心が沸々と湧いてくる。
年下にしか見えないシェイリに頭を撫でながら慰められてしまった気恥ずかしさもあって、彼女とまともに目を合わせることができなかった。

なんというか、最近の僕は、こんな風に慰めてもらってばかりな気がする。
それが嫌というわけではないし、むしろ心遣いがありがたくて涙が出てきそうになるくらいなのだけれど、他の何を切り捨ててでも守ると言った手前、その守るべき相手から何度も慰められて(しかも頭まで撫でられて)しまうというのは、どうにも格好が付かないところだ。
別に普段の自分が格好いいと思うほど自惚れているわけではないけれど、こうも毎回泣いてばかりいるのは、いくらなんでも格好悪すぎるというか、なんというか……。

「ユノくんは〜、かっこいいようでかっこ悪いよね。よく泣いちゃうし」
「んなっ……!?」
なんてことを考えていたら、当のシェイリからばっさりと一刀両断されてしまった。
まるで僕の心を見透かしてるかのようなタイミングでのこの一言に、違う意味で涙が出てきそうだった。

「あとユノくん、さっきわたしのことばかっていった。わたしばかじゃないもん」
「……え」
いかにも「わたし怒ってます!」といったオーラを放ちながら、ぷくーっと頬を膨らませるシェイリ。
ただでさえ年齢詐称疑惑が浮かぶほどの幼い顔をしているというのに、そうやって子供じみた仕草をされると、本当に小学生なんじゃないだろうかと思ってしまう……って、そうじゃなくて。
確かに僕はそんなことを言ったかもしれないけれど、あれは色々な感情がごちゃ混ぜになって錯乱していたからであって、もちろん本気で言ったわけではない。
というか、わざわざ蒸し返してま
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