一人の勇気と一人の願い
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本音を言えばついて来て欲しかった。
一緒にいて欲しかった。
…………俺はいつからか、アリスをガストレア大戦で失った娘と重ねて見ていた。
だからこそ、アリスには絶対に生きていて欲しかった。
「アリス、頼んだぞ」
俺がそう言って歩き出すと、泣きそうな顔をしながら、俺を見送ってくれた。
皆に話掛けるとまた、止められちまうからな。
…………また止められたら、俺は行けなくなっちまう。
こういう時、アニメやら、ドラマやら、ゲームでは、「この世に未練などない」とか言うんだろうけど、俺は無理だ。
未練たらたらだし、今でも行きたくないと思ってる。
もう一度アリスを見るとまだ、泣きそうな顔をしていた。
「…………最後くらい、笑った顔で見送って欲しかったな」
誰にも聞こえないような…………それこそアリスにも聞こえない様な小さな声で俺は呟いた。
今度は振り向かずにいけた。
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「よし、出発するぞ!」
程無くして、準備が終わった亡命キャンプの人々は出発し始めた。
だが、そこにアリスの姿はなかったのだった。
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