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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第26話 白雷の双璧
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る戦車級をまるであたかも銃剣の刃で引き裂き、銃床で殴りつけるように銃固定兵装で引き裂く。

 固定兵装を充実させた武御雷ならば、例え武装全てが突撃砲であっても密集格闘戦に対応可能―――いや、極めて効率的な射撃と運用が可能ならばフレームやアクチェーターに掛かる負荷が極めて大きい長刀を多用するよりも長い目で見た時の継戦能力はむしろ上回る。

 ………尤も、誰でも出来るという芸当ではないが。

 数旬遅れて、武御雷type―Aに率いられた武御雷type―Cの部隊が到着した。
 一番槍として到着していた二刀流の武御雷を中心に瞬く間に戦車級を駆逐する。―――極めて高度に連携が取れた部隊だ。

『今井、彼のバイタルは?』
『駄目です、重金属中毒による臓器不全を示しています……彼は―――』

 視界内の戦車級を粗方殲滅し終えた二刀流の武御雷が僚機の突撃砲4門で武装した武御雷の衛士に問うた。
 が、その結果は―――救いのない物だった。戦場に散布された光線級から兵を守る為の重金属雲に含まれる重金属粒子を吸入してしまったのだ。

 ―――二刀流の武御雷の衛士は速やかにコンソールを操作し、通信回線を唯一生き残っていたF-4J撃震へとつなげる。

『――あ、がふっ』

 視界ウィンドウに展開された衛士の様子。肺を重金属で破壊され大量の血を吐いている。今、彼はそれに加え腹痛と嘔吐それに39度を超す発熱に襲われている。
 志半ばで果てることが確定している彼を真っ直ぐ見つめる瞳―――死を見届ける戦士の瞳だった。

『オレは……人類の……役に……日本の役に立て―――たのだろうか……?このまま…なんの役にも――――』
『貴官らは大儀を果たした、そして之からも果たすだろう。我ら全員が貴官の想いを汲み、受け継いで征くからだ。
 その想い、即ち魂こそ日本の至宝―――君の魂に賭けて誓おう、僕らはBETA共を滅尽滅相するッ!!』

『朔良君……彼は、もう』

 言われて視線が移った先のもう一つの視界ウィンドウ。
 白い零式強化装備に身を包んだ幼馴染の娘が悼まれない表情で首を振る。―――彼はもう答えることが無いと強化装備のバイタルが無情に告げていた。

『彼は…最後まで聞いたのかな。』
『ええ、きっと聞こえていました―――だって、安心したように眠っているじゃないですか。』

『そうか―――』

 視界ウィンドウに移る安らかにも見える死に顔を網膜に焼き付ける。
 二刀流の武御雷の衛士、甲斐朔良(かいさくら)中尉は一黙の間の後に瞳を拓く。
 戦術データリンクから送られてくる戦域情報ではまだ敵は腐るほど居る。


陣形(フォーメーション)、鶴翼複菱参型(ウィングダイアモンド3)!防衛線を押し上げる。』
『エレメントは元より小
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