暁 〜小説投稿サイト〜
Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第26話 白雷の双璧
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
た胴体、無数のキノコの傘のような黒い傘の乱立する頭部、大口の左右から生える腕――――戦車級BETAだ。

 唾液の糸を引きながらその、最も多くの衛士を食い殺してきた咢が開かれた、何処か獲物を前に涎を垂らして笑っているように見える。
 その、戦術機さえも素手で分解する膂力を持つ血色の(かいな)が、まるで三途の川から地獄へ引きずり込む亡者の腕の様に彼に伸ばされた―――

「がぁあっ……おっ、前らなんか、お前らなんか―――きっと、きっと殿下が……!!」


 その時だった。
 電光石火、疾風迅雷……吹き抜ける大質量の刃が撃震に組み付いた戦車級を薙ぎ払った。

 地表を擦り減らし土煙を上げながら静止した白雷の巨人。神道と武道の融合した特徴的な意匠を持つ鋼鉄の甲冑。
 日本帝国を象徴する機体、刃金の雷神:武御雷。
 その精密極致の一刀にてF-4J撃震のマットグレーの機体に取り付いた戦車級を薙ぎ払った一撃は熟練の域を超えもはや芸術である。

 F-4J撃震に比べより高度な最新の電子装備(アビオニクス)を搭載する武御雷へとBETAの目標が変化する。
 其れを氷結(こお)れる眼光にて見据える武御雷type―A。その手に握られた双振りの刃。


『薄汚い化外ども……我らが同胞(はらから)に触れるな。』

 白雷の機体が動いた。
 特徴的な二股の爪が地面を確かにとらえ、そして蹴る。跳躍ユニットの噴射と共に振われる双刃によって戦車級の紅がまるで雑草を刈り取るように薙ぎ払われる。

 右腕の正手で握られた刃が地表を蠢く戦車級を薙ぎ払う、続く左腕の逆手持ちの長刀が空中へと飛び跳ねた戦車級をすかさず空間ごと叩き切る。

 正に疾風怒濤、二刀に加え零式短刀、全身のカーボンエッジ装甲により群がる戦車級がその剣嵐に触れる度に引き裂かれ、スライスされていく。
 只でさえ扱いにくい武御雷を其処まで乗りこなす上に、数えるのも億劫に成るほどの戦車級の立ち位置などを正確に把握していなければ出来ない芸当は正に芸術。

 無害な肉塊を量産していく白き雷神にジェットの噴炎を噴かせて近づいて来る機影達。
 放たれる36mmチェーンマシンガン、戦車に搭載されるそれよりも大口径のもはや大砲と呼んで差支えない砲弾の連射により戦車級がひき肉と化していく。

『甲斐中尉っ先行し過ぎです!』
『ちゃんと追いついて来れたじゃないか?ならば問題ないよ。』

 土煙と土片を撒き散らしながら大質量の白い機体が重い駆動音と共に着地する。
 突撃砲4門を主腕とガンマウントの4本の腕で巧みに扱い、精密極まる高度な未来予測と合わさった射撃で戦車級を蹂躙してゆく。
 まるでBETAが自分で当たりに行っているかのような印象を受ける。そして其の白き機体に纏わり着こうす
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ