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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第26話 白雷の双璧
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九州長崎県
――ぐちゃ、くちゃ、こり、べちゅ―――
嫌な音が響く、肉を咀嚼する音だ。
硬骨や軟骨を噛み砕き、臓物をその他の肉と一緒にシェイクする音だ。
砲火により照らし出される残骸と化した甲鉄の巨人たち―――F-4J撃震の中隊だ。
その衛士たちの墓標には紅い蜘蛛のような異形が集り、胸部の辺りに殺到し何かをむしり取っていた。
引き千切られた機械部品に紛れて青白くなった人肌に肉の断面が見える様々な人の部位がその戦車級の腕に握られ、開かれた口へと押し込まれて噛み砕かれて消えていく。
―――BETAと戦い、敗北した衛士の末路である。
「―――今に見ていろ……!お前らなんか、今にっ!!……人類が滅ぼす!」
その中の一機、その動かなくなった撃震の機体の中で一人の衛士が呪詛を吐き出す。
要撃級の一撃を受け駆動系に致命的損傷を受けた機体は身動き一つ取ることが出来ない、両足は元より跳躍ユニットにも損傷を受けている。
通信機から聞こえてくるのは肉を咀嚼する音、機械を齧り取る音―――既に断末魔の喧騒は既に途絶えた。
機体がガリガリと齧り取られる音が近くなり、正面のコックピットハッチが強引に破砕前の軋みの震えを上げている。
―――もう長くない、機体フレームが歪みベイルアウトは不可能、強化外骨格の起動も間に合わない。
元より、この戦域状態では強化外骨格の起動が間に合っても生存は絶望的だ。
所詮、戦術機の脱出機構は生存率0%を1%に上げるお守り程度のご利益しかない。
「最後に生き残るのは人類だ――――!」
彼はコックピットのコンソールを操作する。
跳躍ユニットのリミットを解除その出力を限界以上に引き上げる―――損傷した状態で無理やり跳躍ユニットを規定以上の出力に押し上げれば、圧縮された酸素と気化燃料が大爆発を起こし、其れがロケット燃料に引火しさらなる大爆発を一瞬で引き起こす。
―――それが、高価な自決装置を装備されなかった衛士が最後に行える最後の足掻きだ。
そんな時だった警告音と共に視界ウィンドウが赤く染まったのは。
『―――なんだとっ!』
唸りを上げていた跳躍ユニットの咆哮が突然息切れを起こす。
跳躍ユニットが受けた損傷からか、解除した筈の安全装置が勝手に起動し跳躍ユニットの機関が停止する―――もはや、容易な自決は携帯した拳銃くらいしかない。
ガキン!
幾つかの金属部品を撒き散らせて撃震のコックピットハッチが引きはがされた。
無数の黒光りする傘が生えた赤い頭が顔を除かせる。
硫黄臭と噴煙の臭いに混じって重金属を大量に含む空気が流れ込んでくる―――肺が焼ける。
「ぐが……!!」
人の口だけを張り付け
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