第二話
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な。だが、お前達の前にはあのラジエルがおる。迂闊に手を出せばどうなるかなど、地の王さえ知っておるわ。故に、我らはお前達に手を出さないではないか。」
「分かっている。だが、その禁を破ってまで抹消したいと思うヤツに…心当たりは?」
そう問われたサルガタナスは、低い唸り声を響かせた。それを答えるのに難色を示しているのだ。
そんなサルガタナスに、メフィストは浅い溜め息を吐いて言った。
「まぁいい。その代わり、レラージュの力を封じてくれ。」
「済まんな。」
「良いさ。こっちはこっちで片付けてやるよ。終わった後のことは知らんからな。」
「分かっておる。」
サルガタナスがそう返した刹那、メフィストはその場から姿を消した。
「全く…相変わらずだな…。」
サルガタナスはそう呟き、荒い溜め息を吐いたのだった。
一方その頃、鈴野夜は司を探していた。
「そろそろ日が沈むな…。」
見上げた空には星が瞬き始め、彼は急がねばと再び駆け出した。
いつもであれば探し人なぞ容易く見付けられるのだが、今回のこれは全く分からない。ここまで何も感じないことから、鈴野夜はとある考えに至った。
- 司は既に… -
だが、そんな考えを振り切り、鈴野夜は彼を探し続けた。またあの頃の様に…そう、あの至福の時を蘇らせたかった。
「いや…無理か…。」
鈴野夜は走りながら、そう自嘲気味に呟く。
分かってはいるのだ。もう…あの頃には戻れない。それは自分の人生の中でも、嫌というほど思い知らされていることなのだ。
ただの甘い夢…。だがしかし、それは在ったのだ。過ぎ去りし時の中へ埋もれはしても、それは確実に在った現実なのだ。
ほんの一握りでも良い。鈴野夜はそれを取り返すために走る。
町には街灯の明かりが灯り始め、店の看板にもネオンが光る。
- どこだ…どこにいる…! -
もうその身の大半を水平線へと沈めた太陽が、ささやかな光を放って消えようとする最中、鈴野夜は隣町にある廃工場まで来ていた。
鈴野夜はふと立ち止まり、その中へと入っていった。幽かではあるが、彼の気配がしたのだ。
それは今にも消えそうなもので、これではさすがに鈴野夜も近付かねば分からない。ここへ来て初めて気付いたのだから…。
「司、居るのか?」
鈴野夜は入って直ぐに彼を呼んだ。すると、何処ともなく返す声がした。それは弱く、人間には聞き取れないほど小さな声だった。
「…雄…兄……」
掠れたそれは、確かに司の声だった。
鈴野夜は直ぐ様その声を追い、ある機械の影に彼の姿を見出だした。
しかし…その姿は…。
「お前…まさか…。」
鈴野夜の表情が苦悶に歪んだ。
「分かっちゃ…たのか…。知られたく…なかったなぁ…。」
見付けた司の姿は…その
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