暁 〜小説投稿サイト〜
メフィストの杖〜願叶師・鈴野夜雄弥
第二話
V
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
、茶でも入れるか。熱いんが良いか?冷てぇんが良いか?」
「今日は冷てんが良いなぁ。」
 そう言いながら、シズは茶の間に入って座った。そこへ明子が顔を出して言った。
「お母さん。私、先に野菜だけ切っておくわね。」
「そんじゃ、わしもそんだけやっとくかいのぅ。」
 シズはそう言って立とうとしたが、明子は苦笑しつつそれを制して言った。
「お母さんは休んでて。そんなに時間かからないから、私も直ぐに来るから。」
「そうかい?それじゃ、お願いしようかねぇ。」
 シズがそう言って座り直すと、明子は笑って台所へと引き返した。
 そうしている内、買い物に出掛けていた二人が戻ってきた。
「ただいま。」
 そう言って玄関に上がると、それを聞き付けたシズが「おや、瑶ちゃんも帰ってたんだねぇ。」と言って出てきたため、瑶子は笑いながら返した。
「だって、杉兄と雄兄が来てるんだもの。会いたくて飛んで来ちゃったわ。」
「そうだねぇ。二人とも、ちっとも顔見せんかったからねぇ。今日はこの婆も交ぜとくれね。」
「当たり前でしょ?皆で集まった方が楽しいもの。」
 瑶子はそう言うや、後ろで苦笑してるだろう鈴野夜に気付き、「また後でね。」と言って鈴野夜と一緒に二階へと上がったのだった。
「案外早かったな。」
 そう言って出迎えたのは大崎だ。些か元気のない様子に、鈴野夜は司のことを聞いたのだと悟った。そのため、鈴野夜は瑶子に躊躇いがちに言った。
「ゴメン、瑶子ちゃん。ちょっと大崎と話があるから、瑶子ちゃんは下で明子さんの手伝いしてやってよ。シズ婆ちゃんも話がしたいだろうしね。」
 二人の様子がどうも不自然と感じ、瑶子は「うん。それじゃ、終わったら直ぐに来てね。」と言ってそのまま部屋を出たのだった。二人が何を話すか・・・恐らく、瑶子は気付いてたのだろう。
「さて・・・聞いたんだな?」
「まぁな。でも司のヤツ、数ヶ月前に家出たっ切りだとさ。悪い奴らと関わってる・・・そう言ってたが、誰だかまでは言わなかった。多分・・・アイツじゃないか?」
「アイツ・・・ああ、久保か・・・。だが、ヤツはまだこの近くに居るのか?私達がここを離れた時、ヤツはどこかへ姿を眩ましていると聞いてるが・・・。」
 鈴野夜は腕を組んで溜め息を洩らした。そんな彼に、大崎は頬杖をついて返す。
「さぁな。だが俺の知る限り、アイツしか司をその道に引っ張り込めねぇとおもうんだ。」
 その後、二人は暫く黙したまま、静かに夜空に瞬く星々を眺めていた。そこには何の意図もなく、ただただ煌めく星が自らを誇示しているだけだった。
「考えても仕方無い。今日は瑶ちゃんもいるんだし、これは明日考えよう。直ぐに帰る訳でなし、折角ここに来たんだからさ。」
 鈴野夜はそう言って立ち上がった。すると大崎も「そうだな…。」と
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ