第二話
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信を見て言った。
「おや、瑶子からだな。」
そう言って出ると、直ぐに話始めた。
別段どうという話ではないようだが、孝はニッとして瑶子に大崎と鈴野夜が来ていることを話した。
「そうだ。あ?お前来るんか?いや、そう言うんじゃないがな。分かった。母さんにはちゃんと話して来るだぞ?それじゃ、待ってるから。」
そう言って会話を終了してケータイをしまうと、大崎と鈴野夜に言った。
「瑶子が来るそうだ。あいつは今、家内と実家に行っててな。こりゃ、久々に賑やかな夜になるな。」
孝が嬉しそうにそう言うや、またもおば様方があれこれと話に花を咲かせていたが、ふと大崎は孝に問い掛けた。
「司君は?」
その問いに、辺りは一気に張り詰めた空気になってしまった。
あれだけ騒がしかったおば様方の声は消え失せ、まるで時が止まったかのように動かない。
そんな緊迫した中、孝は固い表情で大崎に答えた。
「あいつんことは後で話す。さて、二人は先に家行って寛いでいてくれや。二階の東ん部屋は昨日風通ししといたから大丈夫だ。ま、前とちっとも変わっとらんから、二人とも分かるだろ?」
そう言うと孝は振り返り、女性陣に「ほれ、早く仕事せんと終わらんぞ。」と言って仕事に戻らせたのだった。
二人は仕事の邪魔と思い、孝に挨拶してその場を離れたのだった。
大崎と鈴野夜は工場から出ると、散歩がてら海でも行こうと言うことになった。
「あのさぁ・・・荷物だけでも置いてくれば良かったんじゃないか?」
「あ・・・そうだな。まぁ、もうここまで来ちまったしな。」
そう大崎は返すと、鈴野夜と苦笑した。
暫く潮騒に耳を傾けながら歩いていると、向こうから犬を散歩させている男性が向かってきた。
最初は気にもしなかった二人だが、男性が近付くにつれて眉間にシワを寄せ始めた。
「・・・何であいつがここにいるんだ?」
「さぁ・・・。」
その男性は二人の見知った人物だった。
二人は知らぬふりをして別方向へ足を向けようとした時、向こうが気付いて走り寄って来たために、大崎と鈴野夜は溜め息を洩らした。
男性は二十代前半で、髪はダークブラウンに染めている。顔立ちも良く、背も二人と同じ位だった。
「お久しぶりです!こんなところで何してるんですか?」
「洸・・・お前こそ何してんだよ。確か旅行会社に入ったって言ってなかったか?」
大崎はその男性へと不思議そうに問った。
この男性は楠木洸。楠木洋の弟で、本来なら大学院にいる筈だった。それがとある事件に巻き込まれ、大学をそのままやめてしまったのだ。本人曰く「飽きた。」のだそうだ。
大学をやめて直ぐ、彼は旅行会社に入った。元来、彼は旅行好きなため、その気質が役に立っているようだ。その上、五ヵ国を操れる彼は会社の中でも有望株と言
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