2部分:第二章
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第二章
「王よ、御呼びですね」
「うむ、実はだ」
「御用件はわかっています」
彼からの言葉である。
「鏡の間のことですね」
「もうわかっていたのか」
「はい」
今の言葉に驚いた王に対してまた答えるのだった。
「何となくですが」
「そうか。それでは話が早い」
「はい、ではすぐにその鏡の間に向かい」
「話の解決を」
「できるのか?それは」
「できます」
自信に満ちた返答だった。
「それはもう」
「そうか、できるか」
「今すぐにかからせてもらいます」
話は早かった。伯爵はもう全てがわかっているといった口調で話していく。王もその傍に控える夫人に対してだ。それを話したのである。
「では」
「うむ、頼んだ」
そうしてであった。彼はすぐにその鏡の間に向かった。王はそれを静かに見ていたが夫人がここで言ったのである。
「伯爵」
「はい?」
今王の間を出ようとする彼を呼び止めたのだ。彼はすぐに彼女の方に振り向いたのであった。
「何でしょうか」
「私も御一緒させて頂いて宜しいでしょうか」
こう言ってきたのである。
「それは」
「奥様さえ宜しければ」
伯爵はにこやかに笑って一礼してきた。
「是非共」
「それでは」
「はい、参りましょう」
こうして二人で王の間に向かった。王はその二人を見送りながら左右の小姓達に対して話すのだった。
「さて、それではだ」
「これからですか」
「何が起こるかですか」
「そうだ。それを見ることになる」
冷静な言葉であった。
「しかしだ」
「しかし?」
「このことは他言無用とする」
ここでは言葉が強くなった。
「よいな」
「他言無用ですか」
「そうだ。誰にも言ってはならん」
言葉は厳しい。王としての威厳もそこにはあった。
「わかったな。忘れるのだ」
「わかりました。それでは」
「それは」
宮廷においては忘れるということも重要であった。彼等はそれに頷くのだった。そのうえで、だった。彼等は沈黙の中に入ったのであった。
鏡の間は今は誰もいない。静まり返っている。
白銀のシャンデリラが無数に吊るされ一方には窓がありもう一方の窓を模した場所に鏡が連なっている。様々な絵画で飾られ天井は黄金色である。伯爵と夫人はその中に入ったのだ。
そしてだ。伯爵はその中で夫人に顔を向けて言ってきたのである。
「その美女がいる鏡ですが」
「はい」
「これですね」
丁度部屋の中央の鏡であった。
「ここにいますね」
「おわかりなのですか」
「気配を感じますから」
だからわかるというのである。
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