地を蠢くモノ
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だ。足、大丈夫?なんか挙動が少しおかしかったけど……」
傍から見ていたレアならともかく、抱えられていたユウキが見抜くとはさすが……と言うべきだろうか。
「大丈夫……と言いたいが、おそらく捻挫だな。おかげで若干不覚をとったが……。まあ、ユウキを助けられたのなら安いものだ」
助けた相手の助けを借りなければならなかったという。とはいえ、そんなプライドは犬に食わせておけばいいのだが、ユウキは責任感を感じているらしく表情は思わしくない。……少し恥ずかしそうなのは見なかったことにしようか。
「っ〜〜! そうだ! リン、ボクの肩を使ってよ! 普通よりも歩きやすいと思うけど……」
そう言って自分の肩を差し出してくるユウキ。気持ちはありがたいのだが、小柄なユウキでは大柄な俺の身体は支えきれないと思う。そもそも捻挫等の負傷を治す神聖術はないのだろうか?
「……神聖術を使えばいいんじゃないの?」
洞窟から恐る恐る出てきたレアの指摘でユウキは気づいたらしい。何故かちょっと惜しそうな表情になったのだが、その理由を聞くと俺に触れ合う時間が無くなったからだそうだ。
「別に触れ合うくらいならいつでもできるだろ」
ユウキに捻挫を状態異常回復の神聖術で治療してもらって、足首の感触を確かめながら尋ねると、ユウキは苦笑いを浮かべた。
「なかなかきっかけがなくって。何にも無しに抱き着くのはやっぱり恥ずかしいよ」
「そうか。ならきっかけがあればいいんだな?」
「へっ?」
戸惑う声をあげるが、それを無視してユウキの腕を引く。不意をうたれてなんの抵抗もできなかったユウキが、俺の腕の中に飛び込んできた。
「ちょ、ちょっとリン!?レアが見てるから!」
ユウキは脱出しようと試みるが、間接を押さえているこの状態で抜け出すには少し特殊な技術が必要だ。当然そんなものをユウキが持っているはずもなく、抜け出すことができないでいる。
「全く……少しは落ち着け」
その言葉にユウキはもがくのをやめ、素直にこちらに身を任せてきた。……ジト目付きだが。
しかし頭を撫でると気持ち良さそうに目を細め、擦り寄ってくる。こういう猫のようなところは詩乃とよく似てると思う。
ちなみにレアは少し離れたところで空を見ている。絶賛現実逃避中らしい。
「これでおあいこな。これ以上責任を感じる必要はない」
軽く2、3度頭をポンポン叩いて解放する。しばらく呆けていたユウキは、俺の言葉の意味を少しずつ飲み込み、理解できたところで頬をさらに赤く染めた。
「……狡い。そんなこと言われたら反論できないじゃん……」
「抱き着きたいからってわざと失敗をするなよ?」
少し口角を上げながら肩を叩く。すると赤い頬のまま、こちらを見
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