地を蠢くモノ
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られた、その痛みで身体を激しくよじっているワームの胴体を正確に。
それにより、ワームはその部分から二つに別れた。
先程とは比べものにならない程の体液がほとばしる。
「リン、やったよー!」
振って剣身についた体液を払った剣を鞘に納めたユウキは手をブンブンと振りながら、いつもの弾ける様な笑顔を見せる。その身に危険が迫ってるとも知らずに。
「ッ……」
「危ない!」
「えっ……?」
ソレが動いたのを見た瞬間、俺は地面を蹴った。そして驚いた表情のユウキを小脇に抱えると、足にかかる負荷を無視して横に跳んだ。
ガチンと、硬質な音を立ててさっきまでユウキの居た空間を人程度なら楽にスクラップにできそうな巨大な歯が噛んだ。
「っ……」
着地した瞬間、足に走る痛みに背中に冷や汗が流れる。捻挫も実装されてるのか、このアンダーワールドは……。
少し振り返り、後ろを見ると半分になった(・・・)ワームがこちらに向かって跳ねてきた。
「虫の生命力には、呆れるな」
ユウキに言い聞かせるために呟きつつ、対応を模索する。
あの巨体であの勢いだと、鋼糸で防御しても効果が薄そうだ。斬っても、そのあとの衝撃でこちらも潰されかねない。かといって剣で受けるには重過ぎる。足がまともならなんとかなるんだが……。
「ユウキ、地面を」
「え、あ、う、うん!」
時間がないので端的に言ったがなんとか伝わったらしい。俺の片足とユウキの両足が地面を蹴った推進力を使い、ギリギリでワームの突進を回避する。
そしてワームが地面を噛んだ衝撃で動きを止めた瞬間、俺は手に持っていた鋼糸を思いっきり引いた。
そしてワームは地面に張り巡らせてあった鋼糸のトラップによって細切れになる。
抱えていたユウキを下ろして、細切れになったワームの破片を見つめる。今度こそ、ピクリとも動かない。
「なんとかなったか……」
俺は小さくため息をつくと手首を動かし、鋼糸を回収した。当然、鋼糸にはワームの体液が蕎麦に絡み付くトロロの如く付着しているわけで。
「……さっさと消えて欲しいな」
思わずそう呟いてしまうほど微妙な感覚だった。
「その……ごめん、リン」
「油断は良くないな、ユウキ。ソロなら死んでるぞ」
先程の嬉しそうな表情とは一転して泣きそうな表情になっている。
そんなユウキの表情に多少の罪悪感を覚えつつ、軽く握った拳でユウキの頭を小突いた。
「あてっ……うん、わかってる」
シュンと子犬のような落ち込みを見せるユウキに苦笑いを投げかけると、改めてその頭を撫でる。
「まあ、結果はどうであれ、経過は良かったと思うぞ」
「でも……リンに助けてもらって……あ、そう
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