地を蠢くモノ
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来る前はいろいろなVRMMOをスリーピングナイツのみんなと渡り歩いてたんだけどね。その中の一つにアバターが虫になるってやつがあったんだ。それでね、シウネー……あ、ギルドメンバーだけど、シウネーのアバターが芋虫でさ。それを思い出しちゃって」
どうやらユウキの眉間のシワは思い出し笑いを我慢するためのものだったようだ。そういえば口元がヒクヒクと動いていたな。
「……ちなみにユウキはなんだったんだ?」
「アリだよ。アリ! 二足歩行でね! 蟻酸を吐けるんだよ? その蟻酸をタルケンにかけた時の、タルケンの顔が面白くてさ! それで……」
堰を切ったように話始めるユウキ。聞いていてもいいのだが、レアのソワソワが加速しているから止めるか。
「ユウキ、それは後で聞かせてもらうが、とりあえず今はここを抜けよう」
「……そこをシウネーが……あ、うん、そうだね。あはは、ごめん。つい夢中になっちゃった」
途中まで聞かされるとその先が気になるが……まあ、後々の楽しみにしよう。
ユウキは一度クスッと笑うと、洞窟の外に向き直った。そして軽く腕を回すと、腰の剣を引き抜く。やや上段に構えられた剣を右手で持ち、軽く腰を落とした。口元は緩やかなカーブを描き、剣を握る手にも身体全体にも無駄な力が入っていない。気負いもなさそうだな。
「じゃあ、始めるタイミングは任せるね」
「ああ、任せろ」
ユウキの俺に対する信頼は嬉しいことにとても堅い。当然、俺はそれに応えないといけないわけだが……。
俺は近くの地面に転がっていた手頃なサイズの石を拾いあげる。
ワームの感知方法はおそらく音。なので石を使ってそれに生き物の足音を作り上げる。
「行くぞ」
「うん!」
ユウキの返事を聞くと同時に石を水切りの要領で投げる。スナップを効かせて投げた石は砂の上を勢いよく跳ねて行く。そして遅れること数秒後、盛大な砂柱が上がった。
「せやっ!」
「早いっ!?」
ユウキは地面から飛び出してきたサイズは直径一メートル程のワームに一息で肉薄すると、裂帛の気合いと共に剣を一閃。レアが驚きの声をあげる頃にはすでに振りきった後だった。
ザン……と小気味のいい音と共に巨大なワームの胴体に巨大な切れ込みが入る。
あまりの切れ味に、そこから液体が噴き上がるのがワンテンポ遅れた。そしてあがる悲鳴じみた鳴き声。ワームに声を出せるかは甚だ疑問だが、それもまたゲーム故の遊び心だろう。……とても迷惑な遊び心だ。
着地すると同時に地面を蹴ったユウキが身を翻し、身体を空中で捻る。
「これで……終わり!」
その小さな身体のバネを最大限利用し勢いを付けたユウキは、先程切れ目を入れた箇所とは反対側の側面を斬り付けた。……先程斬
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