地を蠢くモノ
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ったようだ。
排除まで計算に入れて諭していたのだろうか。どこまで先を読んでるのだろうか、あの人は。
「だからその……迷惑じゃなければこれからも着いて行きたいんだけど……ダメかな?」
「……そこまでやられて首を横に振れるわけがないだろう。危険な旅だろうが、よろしく頼む」
そう言うとレアは笑顔で頷いた。
「これからもよろしくね!」
頷いたのだが、そのスピードを最大限に生かしたユウキがレアに抱き着き、即座に視界から消失する。
「……ユウキ。抱き着く相手を考えろ。アスナや俺なら反応できるがレアには無理だろう」
「えへへ。そうだね。ボクとしたことが、失敗したよ」
ユウキは舌をチロッと出して何事もなかったように起き上がった。レアは受け身すら取れなかったようで、放心状態だ。あれは痛い。
「さてと……出鼻を挫かれたがここをどうやって抜ける?」
レアが起き上がるのを待ってから、洞窟の外を見てそう切り出す。するとレアは不思議そうに首を傾げた。
「普通に出ればいいんじゃないの?」
「まあ、死にたいならそのまま出ればいいんじゃないか?」
「死ぬ……?」
不思議そうにレアは洞窟前の空間を漫然と見渡す。そこには所々に波紋のような跡があるだけの砂の大地があるだけだった。
「何か危険があるようには見えないんだけど……」
確かに表面上はなにもなく、安全に見える。
しかし。
「レアは自分の居た集落の伝承は知ってるか?」
「伝承?えっと……確か、洞窟の外に出ると闇に蠢く邪神の怒りを買って、雨を降らしながら暴れるとかなんとか……。でも、迷信でしょ?邪神なんて今はいないらしいし……」
冗談を言っていると思ったのか、呆れたような目でこちらを見てくるレアだが、あいにくと俺は真面目だ。
「残る話には意味がある。伝承はそこに住む祖先の知恵や教訓である場合が多い」
だから昨夜、ヘラからなにかヒントとなるのではないかと聞いておいた。
「じゃあ、リンは邪神が居るって思ってるの?いや、居てもおかしくはないけどさ……」
ユウキの言う通り、このアンダーワールドに邪神は居るかもしれない……というか居るだろう。わざわざ伝承に登場するべたな悪役、この世界の製作者が作らないはずがない。
……満面の笑みを浮かべる菊岡の顔が目に浮かぶようだ。即座に脳内で叩き潰したが。
とはいえ、こんな場所に出てくる程暇ではないだろう。つまり今回は正しく伝承の中に存在する神である。古来より人間は理解できないものや災害を神や妖怪のせいにしたという。
そう考えれば、この伝承から読み取れるのは外に出ると闇に蠢く何かが襲ってくる、ということ。そしてその際には雨が降るということの二点である。
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