第0話 私の終わり
[1/2]
前書き [1]次 最後 [2]次話
「おい!起きやがれ!」
ガッ
腹の痛みと共に目が覚める。
目を開けると、父がお酒の瓶を片手に私を睨み付けているのが見えた。
今日は何時もより苛立っているようだ。だって、父の朝はお酒ではなく煙草から始まるのだ。いったい何があったのか気になるが、朝から腹を蹴るのは止めてほしい。胃液が喉まで上ってきたじゃないか。
「チッ…さっさと学校に行きやがれ!目障りなんだよ!」
「アンタがいるとイライラするのよ!」
あぁ…こいつ等本当に最悪だ。目障りなら私を産まなきゃよかったのに。
一応母と呼んでいる奴から汚れまくっている服達を投げて渡され、部屋の隅で静かに着替える。私の腹や背中には、見るだけで痛々しいと思う痣がたくさんある。
この二人はわざと回りにバレないように服で隠れる所を狙って攻撃してきているのだ。嫌になるったらありゃしない。早く私を捨ててくれないかな。そうしたら交番直行して孤児院に入れさせてもらうんだ。
そっちの方が絶対に幸せな生活が待っている。
ボロボロのランドセルを背負い、イジメっ子達の巣窟へ向かう。何故だろう。今日は嫌な予感がする。何時も上靴を隠されたりバケツの水ぶっかけられたり嫌な思いは毎日のようにしているが、今日は今までにないくらい胸がざわざわする。そのせいか、この学校へと向かう見慣れた通学路がやけに長く、歩行時間もまた永く感じた。
・・・
バシャアッ
「やーい、引っ掛かった引っ掛かった!」
「うっわー。こいつ今日も来たぜ!」
「でも、今日は新しい事するんだろ?」
私のクラス、4‐3組の教室のドアを開けた瞬間、このザマである。大量の水を頭から被せられたのだ。濡れた雑巾というオマケ付きで。教室の床はもうびしょびしょだ。誰が片付けるんだ。
「て言うか〜、何でこんなキモい奴がこのクラスにいるの〜?マジキモーイ!」
「キッモーイ!」
「「キャハハハハ!!」」
4年生の癖にキツイ香水をつけている女子共が私を見て嘲笑う。先生は…いないか。駄目だ、教師なのに職員室に逃げたよあの先生。あぁ、大人も誰一人信じらんないや。
「おい、聴いて驚けよ!今日は特別なもんを持ってきたんだ」
そう豪語するのは、イジメっ子達の中心角と思われる『石崎 徹』。
黒髪に赤いメッシュをいれて、全体的に黒な見るからに不良の少年だ。不良だと言うのに、石崎に明らかに惚れているであろう女子は確認したなかでも3人はいる。いったい彼の何が良いのだ。ただカッコつけて私を虐めているだけの真っ黒君じゃないか。
「特別なもんって?」
「それはな___これだ」
石崎のポケットから出てきたのは“カッター”。刃物だ。綺麗に磨がれた刃が私の瞳にキラキラと映る。
もしかして、いや、もしかしなくても、
前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ