五十二話:子供の好きな物
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顔を青ざめさせる。
「そうにゃ。ルドガーは私の胸に触ったことがないから分からない……だから―――触るにゃ」
その言葉には確かな強制の意志があった。俺は何とか他に解決の手段がないかを考えるが何も思い浮かばなかった。それどころか、黒歌は俺を誘って来ようとはせずに俺が自発的におっぱいを触るまで待つという、俺の羞恥心を最大限に煽る行動に出ていた。
それなら、逃げればいいと思うかもしれないが、今の黒歌の目はジーと俺を無言で見つめてくるだけで、計り知れない威圧感を俺に与えていた。これから逃げられるわけがない。逃げたら、もっと恐ろしいことが待っているだけだ。俺はそこまで考えて、恐る恐る手を伸ばす。
何故だろうか、興奮するべき状況なのかもしれないが、余りの威圧感に全く興奮しない。俺は極度の緊張の為に唾すら出なくなった喉を鳴らして、さらにゆっくりゆっくりと黒歌の胸に手を伸ばしていき、後少しでその柔らかであろう肉感を感じるというところで―――
「……兄様、姉様、遊びに来ま……し………た」
扉を開けて、そう言おうとして俺達の様子を見て固まる小猫。俺達も小猫の方を見たままフリーズ状態だ。特に俺は黒歌の胸のあと数センチの距離で手を止めた状態のままだ。客観的に俺達二人の状況を見ると情事の最中にしか見えないだろうな。兄妹だからって、合鍵を渡さなかったらよかったな……はあ。
「………妹に姉の情事を見せつけるなんて……ド変態です、兄様」
小猫はゴミでも見るような目で俺を見て、冷たくそう吐き捨てて、扉をバタンと閉めて消えていってしまった。俺はその様子を黙って見つめていたが、やがてハッとしてすぐに叫び声を上げる。
「誤解だぁぁぁあああっ!!」
「待つにゃ、ルドガー。まずは私の胸を揉んでからにゃ」
「そんなの後でもいいだろ!?」
「逃がさないにゃ。どうせ、言い訳して逃げるんだから、今、揉むにゃ」
「それだと、余計誤解が広がりそうだろ!」
ギャーギャーと喚く俺の肩をガッシリと掴む黒歌の目には慈悲など欠片もない。どうしてこうなったんだ……これも、全部イッセーのせいだ。密かに被害者同盟でも作って恨みを晴らしてやろうと俺は固く心に誓ったのだった。
「今日も面白かった」
「くっ、私はどうすれば…っ! 子供が楽しんでいるのを否定することは出来ない。だが、いくら何でもこれは……ラル、どうか私に力を貸してくれ!」
「我、おっぱいのドライグに興味出た」
「赤龍帝? ……ふふふ、どうやら消さねばならぬ者が一人増えたようだな」
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