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ルドガーinD×D (改)
五十二話:子供の好きな物
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可愛らしい音を立てながら、自分が引いた椅子に近づいて来るオーフィスにヴィクトルはこれがこの世界の最強の一角なのかと改めて不思議に思う。内包する力は、まさに無限という名にふさわしい物だがいかんせん、彼女自身の性格と今の姿ではそれが隠れてしまう。別にそれが悪いとは思わないが、初めて会った時は面食らったものだと彼は思い出す。

それに何より、髪を梳かれて気持ちよさそうに目を細めている姿を見て誰がこの少女を最強のドラゴンだと思うだろうか。彼はそんな事を思いながらいっそ、エルのように髪を結ってみようかと考えるが、彼女には似合わないだろうと判断してやめる。何より、エル以上にあの髪形が似合う子などいないのだから。ヴィクトルはそんな親馬鹿な考えを隠すこともなくしていた。


「終わったぞ、オーフィス。もう、動いて良いぞ」

「わかった。我、見たいものがある」

「見たいもの?」


自分以外には特に興味を持たなかったオーフィスがそんなことを言いだした物だからヴィクトルはオーフィスの言う見たいものに興味を引かれる。オーフィスはソファーに座り、リモコンを小さな手で操作する。そんな様子にアニメか、子供用番組、それとも特撮物なのかと彼も興味深げに画面を見つめる。実はこの男、結構そういった(たぐい)が好きである。

以前は愛娘と一緒に見て、その中の動きをせがまれて持ち前の物まねの上手さで真似をしたこともある。十年たって落ち着いてはいるものの無駄な所にそのスペックを利用するのは十年前の彼と大して変わらない。もっとも、エルの為なら両者とも全く無駄とは思わないのだが。そして、丁度時間が朝の八時という、子供にとってのゴールデンタイムになった時それは始まった。



『おっぱいドラゴン! はっじまるよ〜!』



「…………は?」


彼の顔は十年前、『精霊とお話したい輪』を初めて装着し、ミュゼの本音を聞いたときと寸分たがわぬものになっていた。そして同時刻、もう一人の自分もまた、同じ顔をして同じようにマヌケな声を出していたのを彼は知らない。





「…………は?」


ポカンと口を開けて、ただ画面を見続ける俺。その横では黒歌が爆笑しながら『乳龍帝おっぱいドラゴン』というアニメを見ていた。だが、俺は硬直したまま動けない。正直こんなのは初めてミュゼの本音を聞いてミラミラ言っているのを知った時以来だ。一体誰がテレビを見ていて朝っぱらからこんなアニメが、しかも、登場人物は全員友人という状況を予想できただろうか。もし、予想できた人間がいるならそれは変人か頭のおかしい人だと思う。


(うおおおおん! 誇り高き二天龍がぁぁぁあああっ!!)


どこからか、そんな泣き声が聞こえてきた気がして、思わず涙が零れ落ちる。一体全
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