第一部
第五章 〜再上洛〜
六十五 〜再会、そして出立〜
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?」
「ああ。そういう訳だから、歳三」
……逆らいがたい迫力だな、仕方あるまい。
そのまま、翌朝まで酒宴は続いた。
私は中座したが、睡蓮と祭、黄忠、星、そして途中から姿を見せた雪蓮。
全員が、朝まで飲み続けていたようだ。
……底知れぬを通り越して、もはや尋常ならざるとしか言えぬな。
「歳三様。蘇双から贈られた試作の酒ですが……全て、綺麗になくなったようです」
稟が呆れながらそう報告して来たが、私はただ、納得したのみであった。
成果と言えば、黄忠が私と皆との関係を理解したらしき事ではあったが。
「ふふ。英雄色を好む、とはまさに土方様の事ですわね」
……去り際に、そう言われてしまった。
後で、星を問い質さねばならぬな。
数日後。
慌ただしく日々が過ぎ、出立の日が来た。
全軍を引き連れての冀州入りは許可されず、それに糧秣の消費も膨大なものとなる。
同行させる兵は五千、それ以外は先に交州へ向かわせる事とする。
但し、私自身が着任するまでは不測の事態もあり得る。
睡蓮に頼み、一時的に揚州に預ける事とした。
「皆、私が参るまで頼むぞ」
「……は。しかし主、本当に我ら、お供は良いのですか?」
不服そうな星。
……いや、全員が同感と言わんばかりだな。
此度に関しては、私一人で事足りるであろう。
ギョウまでは麗羽や恋と同行する上、途中で霞も合流する手筈となっている。
それに、兵も引き連れているのだ、大事には至るまい。
「確かにお兄さんの警護は大丈夫でしょうけど、軍師もご入り用ではありませんかー?」
「そうです。袁紹殿の軍にも軍師は不在ですし」
「……いや、やはり二人とも先に揚州へ行け。交州の様子も知りたい、それによって内政や戦略も立てねばなるまい」
「となると、風も稟ちゃんも向かう必要がありますね」
「そういう事だ。では皆の者、揚州で会おうぞ」
「はい。歳三様も、お気を付けて」
「うむ」
名残惜しげな皆と別れ、麗羽のところに向かう。
「お師様、用意は宜しいですか?」
「ああ。待たせたな」
「いえ。では斗誌さん、猪々子さん」
二人は頷くと、全軍に出立の合図を出した。
数万の袁紹軍、そして恋とねね。
「うむむ、月殿は見送りに来られなかったようですな」
「やむを得まい。これ以上、濡れ衣を着せられる訳にもいくまい」
私は、宮城の方を振り向く。
見ておれ、十常侍共。
貴様らに、必ず報いを与えてやろう。
月や、皆の為にもな。
洛陽を出て、黄河を渡る。
「お師様」
船上にて、麗羽と並び、遠ざかる岸辺を見る。
「理不尽な事が多過ぎますわ。お師様が、何をしたと」
「問うても詮無き事。残念だが、今の朝廷はもはや救えぬという
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