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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第114話 魔球?
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 ぐんぐんと伸びて行く打球。その勢いは――
 いや、第一打席のセンターオーバーのホームランに比べると僅かに勢いがない。しかし、それでも通常のセンターの守備位置の段階で、身長百四十センチ少々のさつきの頭の位置よりも五メートル以上高い位置を越えて――

「なめるなぁ〜!」

 しかし、その次の瞬間、俺の瞳に通常では有り得ない光景が映し出された。遙か頭上を越えるかと思われた自称ランディくんの打球を空中にジャンプしたさつきがキャッチ!
 あいつ、終に我慢が出来なくなったのか!

 その瞬間、中継の位置に入ろうとしていた俺が急速反転。同時にアガレスを起動!
 さつきが高い到達点――。棒高跳びの選手ならばギリギリ届くか、……と言う高さからセカンドに向けて送球。その勢いで前方に向け空中で一回転。
 こんな動き、最早人類のソレではない!

 火の出るような勢い。いや、このスピードでは火が出ても不思議ではない勢いで迫る送球。既にサードベースを回って居たランナーが間延びした時間の中でゆっくりと後戻りを開始した瞬間。
 普段感じた事のない全身に対する圧力。おそらく、超高速で動く際に発生する大気の抵抗を跳ね除けセカンドベース上に到達する俺。その刹那、出し抜けに世界が通常の色彩と音を取り戻す。

 胸の前に構えたグラブ。そのグラブに砲弾と等しき勢いで跳び込んで来る硬式球。強化されたグラブと、同じように強化された硬式球が発生させる熱により、周囲に焦げ臭い臭いを発生させた。
 そして、

「ア、アウト!」

 ワザとボールを二塁塁審に見やすいように掲げて見せる俺。そのボールを信じられない物を見た彼のような表情で一瞬固まった塁審が、しかし、直ぐに右手を高く持ち上げ、アウトのコールを行った。
 これでセンターライナー。その後、飛び出したセカンドランナーが帰塁出来ずの、8−4のダブルプレイが成立。

「やった、やりましたよ!」

 一塁ベンチの前で、短いスカートをヒラヒラさせながら飛び跳ねるチアリーダー。嬉しいのは分かるけど、喜び過ぎでしょうが。
 しかし――

「弓月さん。サードベースに着いてくれるか」

 意味不明の俺の依頼。既に一塁側のベンチに帰り掛けていた弓月さんなのだが、

「サードベースに着けば良いのですか?」

 ……と少し小首を傾げながらサードベースへと着いてくれる。
 う〜む、普段はかなり暗い感じで目立たない彼女なのだが、長い黒髪。少し古風と表現されるとは思うけど、それでもかなり整った顔立ち。良家の子女と言う雰囲気から言って、人気がない訳でもないと思うのですが……。

 ハルヒのように初めから俺の言う事を疑って掛かり、しつこく理由を問いただして来ないだけでも好感度は◎。
 別に従順で唯々諾々と従う
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