暁 〜小説投稿サイト〜
蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第114話 魔球?
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し、センターはさつきだったので、差して俊足と言えないセカンドランナーはサード止まり。これでノーアウト、ランナー一塁・三塁。
 一回の表に続くピンチ。
 七番は朝倉さんの調べに因ると、打力よりも守備力重視らしい九組のショート。ここはハルヒの球威が上回り、サードへのファールフライでワンナウト。
 そして続く八番。九組ではキャッチャーをやって居るこの選手も守備力重視。ただ、今回は当たりそこないの力のない打球がライトの正面に。
 並みのライトならば軽くライトフライにて終わる当たりでしょう。まして、ほぼ正面への打球。これを横から奪い取る訳にも行かず――

 ほぼ正面の当たり。動いたのも数歩に過ぎない距離だったのですが、ライトはウチのチームのもう一人のお荷物カニ。もしかすると本当に正面にある物体が見え難いのか、妙にヨタヨタとした足取り。……何と言うか、お笑い芸人が酔っ払いの動きを誇張した形態模写をする時のような足取りで打球を追い――
 六組の応援団からは海よりも深いため息。応援団もライトとレフトがお荷物だと言う事は既に理解していますから。少なくとも、打席に立つ度にその思いを抱かせるに十分な成果を上げて来ました。
 ――彼らふたりは。

 予想通り、軽く処理して当然のライトへのイージーフライがポテンヒット。タッチアップの態勢に入って居たサードランナーが生還して三対八。
 続く九番はピッチャーの自称リチャードくん。第一打席は左中間へのツーベースヒットで二打点を挙げた強打の投手。

 ここも、初球の外角を簡単に流し打たれてライト前ヒット。三対九。



 一回の裏から、二回の表の九組の攻撃を振り返って居た俺。もういい加減、無理をして――例えば、普通の人間では捉える事の出来ない動きで打球を処理すべきかどうか、悩み始めた瞬間。
 右打席に入った二番打者の放ったライナー性の打球が、レフトの前で弾む。一番打者の打球でもセカンドで止まって居た自称リチャードくんは、今回も無理な走塁を試みる事もなく、サードベースを回った所でストップ。これでワンナウト満塁。
 もっとも、次打者は初回にセンターオーバーのホームランと、レフト前へのタイムリーヒットの二本を放って居る三番の自称ランディくん。ここで無理をせずとも、楽に返してくれると考えたとしても不思議ではない。

 主審に対してヘルメットを外して一礼。その後、左打席へと入る自称ランディくん。色眼鏡を掛けて見ているからなのか、その態度のひとつひとつが嫌味で慇懃無礼に感じる。
 ……そう考え掛けてから、直ぐにその思考を追い払う俺。それは、色眼鏡ではない。純然たる事実として、ヤツラは姑息な手段を講じている、と考え直しましたから。
 何故ならば、こちらは能力を下げられた状態で試合に挑まされて居ます。もし、礼儀正
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