第四十三話 街道での死闘その十三
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「福島の娘もさ」
「そういえばそうね」
「確かに訛りあるけれどさ」
「鹿児島の娘や津軽の娘と比べると」
「ずっと穏やかだろ」
「わかりやすいわね」
「だからさ、あたしそう思うんだよ」
北、南にさらに進めばというのだ。
「方言の訛りって強くなるんだよ」
「日本ではそうなのね」
「沖縄とか北海道はまた別でさ」
この二つの地域は、というのだ。
「まあ沖縄はウチナンチューで」
「北海道はアイヌの人と移住した人でね」
「また違うからさ」
「その二つの地域はね」
「アイヌの人の言葉は」
薊は首を少し傾げさせて言った。
「残ってるんだよな」
「うん、残ってはいるけれど」
「もう喋られる人少ないんだってな」
「そうみたいよ」
「そうなんだな」
「アイヌの人達の風俗習慣は残っているけれど」
このことについては金田一京助の業績が大きい。
「それでもね」
「言葉はか」
「かなりね」
使える者が減っているというのだ。
「もうね」
「そうなんだな」
「うん、この学園アイヌの人もいるし」
「ああ、北海道から来てるんだな」
「大学の博物館にアイヌの人達のコーナーもあるわよ」
「へえ、あそこにか」
「そうなの」
裕香は薊にこのことも話した。
「あそこ他には沖縄の民俗学のコーナーもあるし」
「そっちのこともか」
「あと台湾のこともね」
「台湾もか」
「あそこ昔は日本だったから」
このことは半島と同じである、当時台湾と半島は日本であり帝国大学もそれぞれ置かれていて植民地ではなく『日本』としてそれぞれの総督府の下統治されていたのだ。当然そこにいた人達も『日本人』として扱われていた。
「それで資料も集まってて」
「コーナーが出来てるんだな」
「高砂族のコーナーもあるわよ」
「高砂族っていうと」
「薊ちゃんも知ってるのね」
「あれだろ、元ドラゴンズの」
薊は野球のことから話した。
「郭源治さんがそうだったよな」
「あのストッパーだった」
「そうそう、いいピッチングしたら叫んでダンスみたいな仕草するな」
そうした動作でも人気だった。
「凄いいい人らしいな」
「その人もそうだったわね」
「あたし高砂族って郭源治さんから知ったんだよ」
「そうだったのね」
「横浜も苦しめられたってさ」
薊はこのことは笑って言った。
「そんな凄いピッチャーだったって」
「その郭源治さんもそうだった」
「高砂族の人達のこともか」
「そう、資料があるから」
「それは面白そうだな」
「一回行ってみる?」
裕香は微笑み薊に提案した。
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