第四十三話 街道での死闘その十一
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「薊ちゃんマックって言ってたわよね」
「ああ、マクドナルドのことな」
「関東の言い方よね」
「あっちじゃそう言うんだよ」
マクドナルドのことを、というのだ。
「そうなんだよ」
「何かその言い方って」
「関西じゃな」
「あまりね」
裕香は微妙な顔になって述べた。
「言わないわね」
「そうだよな」
「関西じゃマクドよ」
マクドナルドの呼び方はそうなるというのだ。
「若しくはマグドよ」
「マックはないんだな」
「むしろマックって言うとね」
それこそというのだ。
「引かれるわよ」
「めっちゃっていう表現をちょーって言うのと同じか」
「それもね」
「関西じゃ引かれるか」
「関西には関西の言い方があるのよ」
その地域それぞれであるが関西もまた然りなのだ。
「関西弁ね」
「それだよな」
「関西弁って独特でしょ」
「ああ、聞いてはいたけれどさ」
それでもとだ、薊は裕香と共に自分の服を探しつつ答える。
「実際に聞くとな」
「独特でしょ」
「そうだよな、あと寮は全国から集まるからさ」
「あちこちの方言聞けるのよね」
「鹿児島とか津軽とかな」
「それこそ北から南までね」
日本各地の方言がなのだ。
「聞けることっていいわよね」
「裕香ちゃんにしてもな」
他ならぬ彼女にしてもとだ、薊は笑って言った。
「方言出てるぜ」
「奈良のよね」
「それ奈良弁だよな」
「うん、ただ私のところは隠れ里だったから」
だからというのだ。
「また独特なのよ」
「同じ奈良でもなんだな」
「そう、そこはね」
「成程な、あたしだってな」
薊は今度は自分のことに言及した。
「神奈川、横須賀の方の言葉だしな」
「薊ちゃんの口調だけれど」
「言葉のニュアンスがそうだろ」
「うん、あっちよ」
関東の方の言葉のアクセントだというのだ、こうした言葉のニュアンスは標準語を喋っていてもその地域のものがどうしても出る。
「関西のものじゃないわ」
「そうだよな、やっぱり」
「うん、後ね」
「後?」
「薊ちゃん最近少しずつだけれど」
それでもというのだ。
「言葉の調子がこっちになってきてるわ」
「関西のか」
「うん、少しずつだけれどね」
「こっちにいるうちにか」
「そうなってきてるわよ」
「そうなんだな」
薊は今裕香に言われて目を瞬かせた、実は自覚のないことだったのだ。
「あたしも」
「そうなってるわ」
「じゃあこのままずっと関西にいるとか」
「関西弁になってくると思うわ」
「そうなんだな」
「そうですね、私もそう思います」
ここで桜も入って来た。
「薊さんの喋り方は関西のものになってきています」
「そうなんだな」
「はい、今は横須賀と神戸が混ざっている
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