魔王の会談
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なさそうな笑みを浮かべる草薙王。
そんな光景を端に満月王はこの件に対して考えているようだった。
然し逡巡もあまり長くは続かなかった。
「分かりました。そのかわり僕が勝ったらその座譲ってもらいますからね」
「ちょっと待って。それって俺の方が不利なんじゃ……」
「まあいいじゃないの、勝てばいいのだし。それにそっちの方が面白、盛り上がりそうだし」
「おまえ、絶対楽しんでるだろ??」
そんな王達(エリカもだが)を見て一人場がなじんだことに緊張を少しだけ解いた私であった。
魔王たちの会談が終わった後。私と満月様はホテルに来ていた。
長野を見渡せる高さのビル、その最上階に満月様の部屋はあった。
私の今日の任務はここまで。それから先は任務を引き継ぐ係に引き継ぐはずであった。
「今日はありがとうございました。明日も宜しくお願いします」
そう言って自分の部屋に入ろうとする満月様。
「こちらこそお時間を割いて頂いて」
「そんな敬語じゃなくていいのに。僕の方が年下なんだよ」
「では今日はこれに居て失礼させて頂きます」
そう言って明日の予定を考えながら歩いていると後ろから呼び止められた。
「あのこれってどうやって使えばいいの?」
満月様は右手の客室カードを掲げて見せていた。
……私の仕事はまだ終わりそうになかった。
「葵さんて普段何をなさっているんですか?」
ここはホテルの大浴場。私と満月様はそこで一緒に風呂に入っていた。
なんでもずっと小父さん(神)と二人で風呂に入っていたから自分にも一緒に入ってほしいとお願いされたからだった。
これが自分の年に近いかもしくはそれ以上の年齢だったのならば嫌々、しぶしぶといった感じで入ったかもしれない。だが、満月王は自分よりも一回りも小さい子供、さしたる抵抗もせず風呂に入ることになった。
このころになると満月王に慣れてきたのかもしれない。普段以上に饒舌になっていた。
「そうですね。普段は情報収集を主にやっていますね」
「何故正史編纂委員会に入ったんですか?」
私は自分が委員会にはいった理由を思い出していた。
「私はもともと≪民≫の呪術師でした。私の両親も強くはなかったですが神に対抗するための術を完成させるための心やさしい人たちでした。しかし……」
「正史編纂委員会は全ての呪術師や霊能者は委員会に所属しなければならない、などという横暴に出たのです」
葵は続けた。
「……私の両親は委員会に殺されました。《民》の中でも力を持っていたからです。私
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