序章
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てきた。
「ルーヴェン。何度も言ったことではあるが……」
声をかけてきたのは校長の横に座る、中年のハンターだった。渋みのある声に、額から頬にかけて残る傷跡、そして鋭い目つきが歴戦のハンターであることを匂わせる。ルーヴェンの師匠であるハンター・ナライだ。
「狩り場では常に誠実、謙虚であれ。これを忘れるな。さもないとこの試練の先に待つのは……死だ」
「……肝に銘じます」
師匠の言葉から、この試練が容易ならざる狩りであることは察しがついた。ルーヴェンはナライのことを心から尊敬している。同期生の中でも飛び抜けた剣士となった自身の技量は、同じ太刀使いであるナライの指導無しではあり得なかった。それでも自分がまだ遠く及ばず、またあまり言葉には出さないまでもルーヴェンの実力を評価してくれている師がそう言うのだ。他の訓練生が受けたものより困難な試練であることは間違いない。
校長からの「下がってよい」との言葉を聞き、ルーヴェンは一礼して踵を返した。必ずややり遂げるという固い決意を、そしてかつて自分から全てを奪った竜への、消えない憎悪を胸に秘めて。
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