■2■ ラッキガールアオイ
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それよりもこの楽しい時間を終わらせたくないという気持ちの方が強かった。
「せっかくだからさ、このまま駅前に行ってみようよ」
元旦と言えど結構営業しているお店も多い。
別に何か買いたいものがあるわけではないが、貴重な受験勉強の合間の束の間の休日なのだ。
「そうですよね!」
桃子も健太に褒められたこの恰好で、健太と少しでも長くいたいと思っていた。
「確か、天気予報でも雨が降るって話もなかったと思います」
美紅は少しばかり健太の受験勉強のことが心配ではあったが、やはりせっかくの休日を健太と過ごしたいという思いは変わらなかった。
「そうよね。せっかくだし……行こっか」
5人が駅前に向けて歩いていくと、だんだん風が強くなってきた。
「なんかだんだん風が強くなっているけど……」
久美子は少し心配そうな顔つきで呟いた。
さすがにもう撮影にも飽きてきたので、本当は天気が気になるわけではなかった。
しかし、健太が美紅と、アオイが桃子とカップリングされているのでどうしても久美子だけが浮いてしまう。
今までは写真を撮ることで誤魔化していたが、それも飽きてた今となっては手持無沙汰になっていた。
だからと言ってカップリングがされている中に割って入るのはなかなか難しい。
そこでとりあえず、天気の話題をすれば誰かが乗ってくれるのではないかと思ったのだ。
しかし、誰も乗ってはくれない。
ただ、確かに久美子の言うように風がだんだんと強くなっていることは確かだった。
雲も風に合わせ早く流れていくが、空は相変わらず晴れ渡っていて天候が悪くなる様子はまったくなかった。
「ねえねえったら! なんか風がキツイよね?」
天気のことよりも相手をされないことで自尊心が傷つき、久美子は強く訴えた。
仕方ないのでアオイがその発言に応えた。
「じゃあ、違う道にしようか?」
アオイにとっては正直どうでもよかったが、久美子が退屈するのもわかる。
駅前に行くのは大通りをまっすぐいくのが一番の近道だ。
しかし、どうでもいいのなら別に違う道を進んでも問題はない。
それに何より、このまままっすぐ進めば久美子が騒ぐのは目に見えていた。
それは面倒だ。
横道にそれてみると、確かに風は収まった。
しかし、建物が壁になっているに過ぎない。駅前に向かうにはどうしても縦の通りに出なくてはいけない。
試しに曲がって縦の通りに出てみると、やはり結構風がきつかった。
「確かに……これはちょっと……」
普段の格好ならいざ知らず、アオイ、美紅、桃子の3人は着物なので踏
ん張りがきかない。
この風だとまともに縦には進めない。
「なんか天気も崩れてきたし、今日はお開きにする?」
アオイがそう言うと健太は悲しそうな顔をした。
「え〜っ!?」
お開きになれば、健太に
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