■2■ ラッキガールアオイ
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ため込んでしまっていたので、必死だった。
そして、引いたおみくじは吉。
今の久美子にとっては、吉というのは意外にも素直に喜べる結果だった。
「私、吉だよ吉! いいじゃん。吉って大吉の次にいいんだよ。やっぱお祈りを真剣にしたからね!」
そんな久美子を冷やかに見ていたアオイが、次におみくじをひいた。
大吉だった。
「見て見て! やったあ! 今年の私はツイてるんじゃない?」
大喜びのアオイを健太は羨望のまなざしで見ていた。
「アオイさん、いいなあ……」
受験に対して藁をもすがりたいのだ。心の底からアオイのおみくじを羨んだ。
「地球の平和を守ったり、結構、いい行いをしてると思うんだけどなあ……」
次に桃子がひいたおみくじは――
桃子は引いたおみくじを見て表情を曇らせた。
「嫌な予感……」
結果は凶だった。
せっかく健太に着物を褒められたというのに……
そんな落ち込んでいる桃子に美紅が声をかけた。
「ちょっと、そのおみくじを貸して」
桃子が引いたおみくじを受け取ると境内の枝に指差した。
「そういう悪運のおみくじは結んで神社に置いていけば厄払いになるのよ」
そう言って、手ごろな枝に結び付けようとした。
「あ、自分のおみくじだから私がやるわ。美紅ちゃんは自分のおみくじをひきなよ」
桃子に促されて美紅はおみくじを引いた。
引いたおみくじは、さらに悪い大凶だった。
こういったことでは動じなさそうな美紅の表情も軽く引きつった。
「私、大凶ひいちゃった」
そして、軽く微笑んだがどう見ても苦笑いだった。
「美紅ちゃん、大丈夫! 悪運は置いていこう!」
そう言って健太もおみくじを結んだ。
美紅も境内の木に大凶のおみくじを結びつけた。
「これで私は厄払いできたはずだから、逆にラッキーかもね」
桃子もその言葉にうなずいた。
「きっとそうだよ!」
2.
5人は出店で焼きそばや焼きとうもろこしを買って食べたりして楽しんだ。
基本的には健太と美紅が、アオイと桃子がカップリング。
残った久美子はファインダーをのぞきながら美紅と桃子を中心に、写真を撮影した。
「今日は、風が強いわね」
風が撮影の邪魔になるが、さすがに振袖だ。強風でも裾が軽く乱れるだけで、パンチラの心配はなさそうだった。
健太はもちろん、アオイも美紅も桃子も気にしている様子はなかった。
ひとしきり出店を楽しんで、神社を出ると、強い風が吹いてきた。
それを久美子が指摘をした。
「天気、大丈夫かしら?」
さっきから撮影に邪魔で、風が気になっていた。
時折、撮影の邪魔になるのだ。
空を見ると雲が早く流れている。
しかし、青空が広がっていた。
「でも、天気はいいよね」
健太は久美子の言葉をまったく気にしていないようだった。
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