第五章〜二人仲良く攫われた先で〜
第二十三話
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構うことなく私の髪を舐めている明智に本気で鳥肌が立つ。
そんなに髪の毛が気に入ったんなら切ってプレゼントするから。だから舐めるのやめてー!!
「姉上!」
私の声に我に返った小十郎にしっかりと抱きしめられて、弄んでいた髪をようやく離してくれた。
今すぐ洗い流したいところだけど、ここには水も何も無い。だから洗いに行くことも出来ない。
「また来ます。私の可愛い側室達」
「誰がテメェの側室になんかなるか!!」
声を揃えてそう叫んでやったものの、明智は動じることなく笑って部屋を出て行ってしまった。
震えが止まらない私を、小十郎が心配そうに背を擦ってくれる。
「姉上、大丈夫ですか!?」
「小十郎、平気? ここから逃げ出したら消毒しようね?
他に触られたりしてない? いかがわしいことされたりしてない?」
「え、ええ……」
私の勢いに押されてしどろもどろに答える小十郎に、ただ私は安心して溜息を吐いていた。
本当にどうしよう……変態に誘拐されてしまった。
逃げられないように鎖で繋がれてるし、私の力じゃ鎖は切れないし、小十郎の雷でも意味ないし……つか、下手したら感電するし。
あんな変態に比べたら、利家さんなんて全然可愛いもんじゃない。今なら全裸くらい見たって良いわよ。
何も身に付けずに歩いてたって文句言わないわ。
「姉上、この小十郎……姉上の貞操だけは絶対に守りますゆえ、御心配召されるな」
こんな小十郎の発言に私は思わず噴いてしまった。この馬鹿、それってどういう意味か分かってるわけ?
「ちょ、アンタ何言ってんのか分かってんの?」
「無論。あのような男に穢されるくらいならば……代わりにこの小十郎が」
そう言った弟の頭に拳骨を食らわせてやる。やめて、そんなBL的な展開。持ってかせる気は全然ないから!
じゃなくて、軽々しくそういうもんを捨てるなっての。
「輝宗様の小姓やってた時だって何とか貞操守りきったじゃないの。
駄目だよ、こんなところで軽々しく捨てちゃ……しかも初体験があんな男って」
絶対傷つくと思うよ。いや、間違いなく傷つく。腹切って死にたくなるのが目に見えてるもの。
「姉上があのような男に穢されでもすれば、政宗様に申し開きが出来ませぬ。それこそ腹を切って詫びねばなりません」
「……おい、ちょっと待て。どうしてそこで政宗様が出てくるの」
政宗様の右目だから、なんて理由は止めてよ。
いくら政宗様にもうひとつの右目だと言われてるとはいえ、私は小十郎のスペアみたいなもんなんだから。
すると小十郎はきょとんとした顔をして、
「先程、まだ政宗様の側室の方がいい、と叫ばれたではありません
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