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竜のもうひとつの瞳
第五章〜二人仲良く攫われた先で〜
第二十三話
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した。私は魔王の配下、明智光秀と申します」

 明智光秀……だと?
明智光秀と言えば織田信長の家臣で、信長が後一歩で天下が取れるってところで謀反を起こして討ち取っちゃうんだよね。
まぁ、BASARAの中ではどうなってるのか知らないけど……なんていうか、こうなっちゃうのね。

 「正室を選ぶのに各地から女を攫って来るってのか……魔王の配下って奴ぁ、相当の外道なようだな」

 小十郎が睨みつけてそう言えば、明智はにやりと笑って私達の前へと歩いてくる。
小十郎が私を自分の背に回して守るように塞いだわけだけど、明智は私ではなく小十郎の顎を掴んでじっとその顔を見つめている。

 一体何だ、と小十郎が言いかけた瞬間、明智は小十郎の頬の傷に合わせてべろりと顔を舐めていた。
舐められた瞬間、小十郎が震え上がっていたのは言うまでも無い。

 「ちょっ……小十郎! 離れて!」

 襟首を掴んで引き倒すようにして離れさせると、小十郎は完全に何が起こったのか把握出来ずに硬直している。
しかし身体の方は素直なもので、明智の行動に鳥肌が立っている。そりゃそうだ、いきなり頬を舐められたら鳥肌が立つよ。

 「男は余計だと思っていましたが……これほど気が強いのであれば、側室に据えてもいいかもしれませんねぇ」

 小十郎を側室、だと!? そんな政宗様を差し置いて側室にだなんて……って、違うか。

 「ちょっと待って! 何で側室!?」

 どう考えてもおかしいでしょうが。側室に、って、小十郎を抱きたいわけ? 小十郎とそういうことしたいわけ?

 「男では子は産めませんからねぇ。貴女ならば正室になれるでしょうが」

 冗談じゃない、何でこの男の正室になんぞならなきゃならんのか。だったらまだ慶次を夫にした方が良いような気がする。
慶次は無職だから対象外だけど、この明智に関しては違う。生理的に受け付けない。

 「私も子供は産めませんから!……じゃなくて、普通家臣でしょ! 何で側室にしようって」

 「それは私が男でも女でも拘りがないからです」

 「んなこと堂々と言うなぁああああ!!」

 ヤバイ、私の小十郎が穢される。
今度は小十郎を庇うようにして私が前に出れば、私の長い髪を掴んで歪な笑みを浮かべる口に入れた。

 「いやああああああ!!!」

 本当に気持ち悪い、一体何を考えて口に入れてるんだ。気持ち悪いったらありゃしない。冗談抜きで止めてよ、本当に。

 「素敵な髪ですね……しかも艶やかでとても美味しい。
しかし残念なことに二人とも子が産めないとなれば、側室に据えるしかありませんねぇ」

 「嫌だ! 誰がアンタの側室になんか!! 変態の愛人になるくらいなら、まだ馬鹿主の側室の方がいい!!」


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