癡 翁
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いいがなあ、あの二人。
四十を出たばかりって聞くしお似合いだろう。用もねえくせにこっちへ挨拶に来るのはそれに違えねえんだ。啓子ちゃんのいる日だけ顔を出しあがん。歯のねえ顔でね?
このへんじゃ出来た男だ。啓子ちゃんにしたって憎からず思ってんじゃないの?まめに通うのにゃあ目的があるべさ。
と言って、目的の第一は風呂か。体が大きいしなあ。あれじゃあ、一回入れるんだって、おっかさんの重労働だ。よく言ってるね、「お風呂が気持ちよかったあ、湯ぶねにつかれるのが嬉しい」って。
それと、あれだ。こういった噂をしてっと、「おはようございまあす」って、今朝もそろそろ来ようってのに大きな声じゃ何だな。同じ車椅子の俺には分かってるが、シモのことね。出るものが出なくなる。んで、ワーカーにさ。尻の穴い指を入れてもらって出しやすくする。説明が汚ねえか?まあしょうがねえ。「摘便」なんて言ってるわな。
あべこべに勝手に出ちゃって慌てる場合がある。あの子はオシメだろうけんど。
おしッこも一人じゃ出せねえぜ、まず。ここへ来て、トイレを済まして帰る。てな訳があるんだね。
あんた啓子ちゃんの知り合いだっていうんで注意しとくが。ジロジロ見ないようにしろや?あれこれ聞いたり。気にすっから。去年の正月って言ったべか、また再発したで、かつらなんだから。薬を使うと毛が抜けんのよ、かわいそうに。
ほい来た来た。ああやって集まって来る。3時のおやつまで、みんなあすこのホールで過ごす決まり。じき始まんぞ?「きゃあ!」だ「ぎゃあ!」だって。だいじょうぶ?驚かねえか?お互い様だしな。
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