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竜のもうひとつの瞳
第二十二話
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ほほほ、と上品に笑うまつさんが怖い。本当に怖い。ひょっとしたら姉を超えるくらいに恐いかもしれない。
小十郎も心なしか恐怖の色が顔に滲んでいる。

 「また遊びにきて下さいませ。慶次も喜びますれば」

 何事も無かったかのように話を進めるまつさんが怖かったけれど、多分突っ込んだら負けだ。
私達もそれは何となく分かってる。

 「お、おう。そのうち奥州へも遊びに行くからな。その頃にはいい人見つけてなよ?」

 「うん……って、俺に恋しろとは言わないんだね」

 「流石に独眼竜とその右目に睨まれちゃあね。まぁ、俺に恋をしてくれるんなら大歓迎だけどね」

 慶次の冗談めかした言葉に反応して小十郎から殺気が放たれたのに気付いて、私は隣で座っている小十郎の太股を思いきり平手で叩いた。
短い悲鳴を上げた後、隠すことなく叩いた場所を押さえて苦痛の表情を浮かべている。
全く、冗談と本音くらい見極めろっての。シスコンじゃあるまいし。

 「じゃ、そろそろお暇しましょうか」

 「〜〜〜っ……はい」

 涙目のまま小十郎は立ち上がって外へと出た。
私も続いて外に出た瞬間、突然何者かに背後から抱きすくめられて身動きが取れなくなる。

 「なっ、何!?」

 「姉上!」

 一体何が起こったのか分からず慌てる私を見て小十郎が顔を青くしている。
それを見ただけでも緊急事態であるのは分かったけれど、行動を起こすことが何も出来なかった。
何故なら、がすん、と首の後ろを叩かれて、私は訳がわからないまま意識を失ってしまったからだ。

 本当、一体何がどうなったの? 誰か教えて!

 意識を失う直前に思ったのは、それだけだった。
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