第二十一話
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「ちょ、何やってんの!?」
「白昼堂々とそんな格好でいるたぁ、何処の変態だ……姉上に指一本触れて見やがれ、細切れにすんぞ!」
すっかり変態扱いされた利家さんは目を丸くしていて、小十郎も遠慮無しに殺気を叩きつけている。
「なっ、へ、変態!? そ、某はそんなものではない!」
「じゃあ何で女のいる前でそんな格好して平然としていられんだ!
裸見られて興奮してんじゃねぇのか? 納得がいく説明が出来なきゃ叩き斬るぞ、テメェ!!」
おいおい、ちょっと待て。小十郎ってば気持ちは分かるけどそれはいけないっての。ここは人様の家だってば。
「某は日頃からこの格好なのだ! 別に色に狂っているからこの格好をしているわけでは」
小十郎が利家さんの首を貫こうと目にも留まらぬ速さで刀を突き出している。
しかし利家さんも武芸者、咄嗟にそれをかわして両手で刃を掴んでいるからカッコイイ。でも褌一丁だけど。
……つか、兄弟揃って変質者扱いするのは一緒なのね。初対面であの格好見せられたら変態か何かだと普通は思うわよね。
でも流石にこれは止めないとまずいか。いくらなんでも世話になってる立場でこんな非礼は許されない。
私は小十郎の頭を思いきり叩いて刀を奪い取る。何故殴られたのかと抗議するような目をする小十郎に
「あの人は前田利家さん! この加賀のお殿様!」
そう教えてあげた。その事実に小十郎の顔から批難の色が消えていく。
「……前田、利家?」
きょとんとした顔をして利家さんを見る小十郎に、まつさんは、ほほほと笑って利家さんの後頭部を全力で叩いていた。
利家さんは呻くことも出来ずにそのまま突っ伏して気を失っている。
「犬千代様がご無礼をいたしました。前田利家が妻、まつめにございまする。竜の右目、片倉小十郎殿でございますね?」
まつさんの対応に正気に戻ったのか、小十郎は座り直してまつさんに頭を下げた。
隣で気を失っていた利家さんが気になっているようではあったけれど。
「この度は姉が世話になり、感謝致しまする。そして私までこのように世話になり、申し訳なく」
「いいえ、困った時はお互い様にございますれば。それに小夜殿、いえ景継殿がいらっしゃったお陰で
大分まつの仕事も楽になりました。こちらこそ感謝せねばなりませぬ」
……やっぱり知ってたんだ、私の名前。というか、侍女の姿でその名前を言われると何となく違和感が。
「妻としての仕事をお教えしたので、何処へ行かれても恥ずかしくないだけの技術はございますれば、
安心して嫁に出せまする。奥州の独眼竜のところに限らず、何処へでも」
「御心遣い、感謝致します」
深く頭を下げた小十郎に、まつさんは
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