第二十話
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に破ったら大姉上に報告すると言ったので、まずやらないでしょう」
……ああ、姉に報告すると言ったわけね。てか、周知の事実じゃないのね、まだ。
「それと、もう一つ……祝言を挙げることになりましたので、姉上には戻って出席していただきたいと」
「祝言? 誰が?」
そんなおめでたい話があったなんて知らなかった。一体誰が祝言挙げるんだろう。
小十郎がわざわざ報告するってことは、かなりの人物だと思うけど。
「小十郎が、です」
へ? 小十郎が? 何、その急展開。私がいない間に一体誰をモノにしたってのよ。
少しばかり照れたように報告する小十郎に、私はただ目を丸くするしかない。
「相手は矢内殿のご息女の夕殿です。姉上が出奔なさっている間にいろいろありまして、祝言を挙げることに」
夕ちゃんが相手かぁ……小十郎のことが好きだって言ってたから良かったよ。
夕ちゃんが相手なら私も安心して任せられる。本当にいい子だしね。あ、でも一応聞いておかないと。
「それって、私に気兼ねしてってこと?」
私に気兼ねをして相手に選んだとなったら夕ちゃんに申し訳ない。それに矢内殿にも。
大事な娘さん貰うのに、適当に選んだとでもなったら本当に笑い話にもならないしね。
でも、小十郎は笑って首を振り、きっぱりとこう言い切った。
「いいえ、互いに好きあってのことです」
互いに好きあって。
ってことは、私への恋愛感情が消えたって解釈でいいのかな。じゃあ、普段通りに接してもいいのかな。
そう思っていると、小十郎は苦笑して私に身を預けてきた。
それは子供の頃、小十郎が甘えたい時によく私にやってきた行動だった。
段々と男としての意識が出てきたからなのか、久しくこんなことはしてこなかったけれど、こんな風に甘えられると懐かしくなってくる。
「小十郎はやっと弟に戻れました……今まで申し訳ございませんでした。
もう、小十郎は大丈夫ですので……ご安心下さい」
穏やかに笑って話す小十郎に嘘はない。本心から言ってるってのが分かって、私も嬉しく思う。
「じゃあ……いつも通りにやっても構わないのね?」
「……出来れば人前では止めて頂きたいのですが」
少しばかり渋い顔を見せた小十郎に問答無用で抱きついて頭を撫で回す。
整えている髪が乱れているが、私はお構い無しに撫でた。
「でかした、小十郎!」
やっとこの子が好きな相手見つけて結婚してくれる。私なんかに惑わされてなかなか結婚出来ずにいたことを思えばこれは嬉しい。
くしゃくしゃになった髪をかき上げて、小十郎は何処か嬉しそうに笑っている。
「でも、そんな体調じゃ祝言なんか挙げられないでしょう。祝言
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