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竜のもうひとつの瞳
第十九話
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に名乗る気もないので景継の名は言わないけれども。
というか、そっちの名前を迂闊に出されたくないから言わないってのもあるんだけどね。

 「本当は男として身を立ててく筈だったんだけどねぇ……何処でどう間違ったのやら。ちゃんと反省してくれてると良いんだけどなぁ……」

 あの人のことだから、まだ反省してなくて手篭めにするつもりでいるのかもしれない。
だけど、戦に出たってことはそれなりに頭が冷えてるものだと思いたいところなんだけどね。
いや、ひょっとして甲斐に私がいることを知って戦を仕掛けた……にしちゃあ、攻め込む場所がおかしいか。
甲斐にいるって知ったら直接甲斐に来るもんねぇ、あの人は。
わざわざ川中島に攻め込む理由が分からないし。

 「手篭めにされそうになったってのに、まだ帰るつもりでいるのかい?」

 慶次は驚いたようにそう聞くけど、勿論ですよ。出奔じゃないもの。

 「そりゃ勿論。可愛い弟もいるしね」

 政宗様が頭を冷やしてくれるって信じてるから家出したわけだしね。
そういや、小十郎はどうしてるかなぁ……。いい加減、過労で倒れてたりしないかしら。
進軍を開始したってことは政宗様も多少は頭が冷えたって解釈したからゴーサイン出したんだろうけど、
でもまた顔合わせても変な気を起こさないでいてくれると助かるんだけどもなぁ……。

 気にしないようにと思ってても、やっぱり気になっちゃう。生まれてからずっと一緒にいたんだもんね。

 「奥州に帰りたいのかい?」

 「ん〜……帰れる家があるからね。本当は、こうやって旅に出るつもりもなかったから。
出なきゃならなくなったから出てきただけで……」

 帰れるのなら帰りたい、そう思う。だって、帰れる場所があるんだもの。
奥州には小十郎や姉がいるわけだし、私の身を案じてくれる『家族』がいるのだから。

 ホームシックってやつかしら。私、実は結構あそこで暴れてる方が楽しかったのかもしれない。でも政宗様の側室は嫌だけど。

 皆、どうしてんのかなぁ……川中島に突っ込んだのも、結局どうなったんだろう。
利家さんやまつさんの反応を見ているとえらいことにはなってなさそうだけども、変に怪我なんかしてなきゃいいけど。

 「なぁ、小夜さん。俺と一緒に遊びに行かないかい?」

 ぼんやりとそんなことを考えていた私に、慶次が笑ってそう話しかけてくる。

 「遊びに?」

 「どっちにしてもいつかは帰るんだろう? なら、その前に加賀の良さも知って貰いたいんだ。土産話は一つでも多い方が良いだろう?」

 確かにそうかもしれない。奥州のことばかり考えてて、折角旅しているってのに観光しようって気にはならなかったかもしれない。
甲斐も結局幸村君と団子を買いに行
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