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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
ニ十二話 世界最強の少女
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、クラナは一度背筋を伸ばして向き直る。今から自分は、彼女に手ほどきを受ける立場だ。失礼は許されない。
「はい。よろしくお願いします!」
「うん!よろしくな〜」
互いに礼を交し、少年と少女が構えを取る。
────
「…………」
「…………」
互いが構えを取った瞬間から、辺りは静謐な空気に包まれていた。林の中に立ちこめる冷たく、それでいてどこかピンと張りつめた空気が、小鳥のさえずりの響く森の中に流れ、何処かで飛び立つ小鳥の落とした青葉が、地面に触れた。
瞬間。
「ッ!」
「ハッ!」
およそ同年代としては信じがたいスピードで踏み込んだクラナの右ストレートを、同じく常人離れした反応速度と反射神経でジークリンデは受け止めて弾き落とす。その流れに逆らう事無く敢えて右腕は落とされる。代わりとばかりに右足で踏み込み、其処を軸として左腕のフック。これをジークリンデの左腕が受け止めるや否や、今度は彼女が右足を軸とした左足上段の蹴りを飛ばしてくる。
「てぇっ!」
「フッ!」
これを膝を曲げて回避、頭の上をかすめる風にややひやっとしつつ、右足を軸にして左からの下段蹴りで相手の軸足を狙う。次の瞬間。
「!?」
「りゃぁっ!」
ジークリンデの右足が浮いた。頭上を通り過ぎた左足の勢いを利用して空中に浮き、右足からの後ろ回し蹴りに移行したのだ。魔力を使わず純粋な身体能力でこれをするあたり大したものである。対して既にしゃがんだ体勢のクラナはこの下段蹴りをかわす事は出来ない。ほぼ反射的に、クラナは交差させた腕を自身の前にかざしていた。
「くっ!(重、い……!)」
接地していない為、文字通り地に足のつかない浮いた攻撃のはずなのに、その蹴りの一撃が驚くほどに重い。下手に力の流れに逆らうとダメージが増すと判断したクラナは、あえて曲がって居た膝に全神経を集中して後方に飛びその勢いのまま吹き飛ばされた。
それでも判断が遅れたことに違いは無く、腕に強い衝撃が駆け抜けた上に体勢が崩れ、空中でのバック宙によって何とか体勢を立て直す。
その一瞬をジークリンデが見逃すはずはないと分かっていたが、こうしなければ地面に足を着いた途端に更に体勢を崩してそのままダウンまで押し込まれてしまう。
「(にがさへんっ……!)」
吹き飛んだクラナを、着地から即座に前傾姿勢で突っ込んできたジークリンデが追う。低空タックルはジークリンデの得意な突進系戦術の一つだ。と言ってもこの少女、実は格闘技と言う枠に絞れば苦手な戦術の方が珍しいくらいなのだが……
「ッ」
着地の為に大きく膝を曲げて地面に降りたクラナからも当然其れは見えている。下段の攻撃と言うのが原則対処の難しい物が多いため、一瞬だけクラナは対処に悩んだ。あの高さの突進であれば、曲げた膝を戻す力を利
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