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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
ニ十二話 世界最強の少女
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市部とは違い、多少交通などが整備されたとはいえ殆ど手付かずの自然が残る、ミッド西部の小さな山林地域に、クラナはやってきていた。

[指定された座標まではもう少しですね]
『こんな所で練習してる人なのか……』
[変わり者な方なのかも知れませんねぇ、ちょっと気をつけた方が良いでしょうか?]
『でもヴィクトーリアさんの友達だよ?そうそう変な人だとは思えないけど……』
アルとそんな事を話しつつ、ヴィクトーリアに教えられた場所を目指してクラナは歩き出す。周囲には森と川のせせらぎ、鳥のさえずりなどの自然からなる色と音が満ち、陽光がそれらを平等に照らす。[熊注意]等と書かれた標識に苦笑しつつ、舗装された道を脇にズレて少し川の方へと降りていった所に、比較的平らで、小さな河原があった。

[座標はこの辺りです]
『此処……?』
はて、周囲に誰かが居るようには見えないが……そんな事を思って周りを見渡すと、すぐ其処にテントが張ってある事に、クラナは気付いた。

『あれかな……?』
近寄っていき、テントの周りを観察する。しかし……周囲には火をおこした後や何かを立てたような跡は有るのだが、当のテントはアルが呼び掛けても反応が無く。中を覗くと案の定無人だった。

[お出掛けでしょうか……?]
『うーん……出掛けるって言っても、どこに?』
[はて……?]
少し考えながら周囲を見渡すと、ふと音に気が付いた。高速で水が流れ落ちるような音、これは恐らく……滝だ。音の近さから考えて、すぐ其処の河がカーブになっている部分の、林の陰だろう。

「(退屈だしな……)」
普段都市部に住んでいると、あまり滝のような大自然の景色に触れることは少ない。そう言う意味では、この前のカルナージ合宿はよい景色を見れた。そんな事を思いながら、特に考えもなくクラナはそちらの方へと向かった。

「わぁ……」
林の向こうには、やはり滝があった。と言っても、想像していたほど巨大な物ではない。高さはせいぜい4mちょっとと言ったところ。水量もそれ程ではない。ただ落ちてくる水がしぶきをあげていて、辺りには他の場所よりもひんやりとした空気が満ちていた。

「気持ち良いな……」
そんな風に一人ごちながら、クラナは吸い寄せられるように滝に近づいていく。低い滝ではあるが、近くで見ればそれなりに迫力がありそうだ。
と……

「?」
すぐ近くで滝の音とは違う、何か生物の気配を感じた。もしや本当にクマでも居るのではあるまいなと内心冗談混じりにそんな事を思って、クラナは静かにその音源の方へと近づいて行く……
……其処に居たのは、熊では無く、また竜や妖精のような幻獣の類でも無く……一人の、少女だった。

「…………ぁ」
舞い上がった水滴が、少女の周囲でキラキラと輝き、その一糸纏わぬ
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