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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
ニ十二話 世界最強の少女
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の言葉に思わず、クラナの口角が上がる。

「はい!よろしく……お願いします!」
土を蹴る音が響く。
林の中の小さな広場で、一組の男女が、拳を撃ち合わせていた。


────


「はぁ……はぁ……」
「ふぅ……ふぅ……」
其れから、何時間が過ぎただろうか……?本人達ですら分からない程長い時間を、彼等はただただお互いの力と技を尽くして、拳を打ちつけ合う事だけに費やした。時間の流れなど、とうの昔に意識の中から消え去って居た。なぜなら、ただただ楽しかったからだ。それ程に、彼等はお互いの力を認め合い、同時に互いを気に入ったのだった。
最早、相性と言うほかあるまい。共に打ち合い練習しているだけで何処までも楽しくなれる、そんな相手がいることが、幸せで仕方が無かったのだ。
ちなみにだが、バトルジャンキーとか言ってはいけない。義母親譲りだとかいうのもなしである。まぁ若干高町家症候群に近い気もするが、あくまで友情である。
……まぁ、なのはにしてもあれでいて最終的には友情にたどり着いてしまったのだが。

「あー、もーむりや〜、身体がうごかへんよ〜」
「俺も……はぁ……ちょっとキツイ……」
息を切らしながら、二人は草地の上、大の字になって寝転がっていた。それは少しでも彼らを知るものからすれば異常な光景だっただろう。「あの二人があそこまで体力を消耗するなんて、何をしたらああなるんだ」とでも思うかもしれない。実際、基礎体力だけならば下手な武装管理局員を上回るポテンシャルを持つ二人である。そう思う人間がいたとしても、その疑問は至極まっとうだ。
まぁ、と言ってもしたことと言えば二人でスパーリングをしていただけなのだが。

「(久しぶりに、ちょっと飛ばしすぎた……)」
少々自分の限界値を考えずに無理しすぎたようだ。先日のヴィヴィオのことを全く言えない体たらくぶりである。

「(俺って未熟者だなぁ……)」
わかりきった事実をいまさらのように自覚しなおして、クラナは苦笑しながら空を見た。隣ではジークリンデが同じように倒れている。
なんというか……不思議な物だと思う。今日初めて会ったばかりだと言うのに、彼女とはずっと前からこんな風に練習をしていたような気がした。これほどの気の合いかたを、誰かとの間に感じたのはいつ以来だろうか……?
クラナ自身、夢中になり過ぎると良く時間を忘れてしまう事があるのだが、それにしても、これほど初対面の相手との一体感を感じた事は久しく無かった。お陰で既に空は茜色に染まり、ちらちらと星すら見え初めて…………あれ?

「……アル、今何時?」
[はい相棒。現在18時34分です]
「ちょっ!?」
「ふぇ!?ど、どないしたん?」
ガバッと勢いよく跳ね起きてクラナはポケットにつっこんでいたアルを持って時計を呼びだす
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