第十八話
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「某とまつは深く愛し合っているからな!」
「まぁ、犬千代様ったら」
出ました、ピンクのオーラ。何かハートマークが飛び散ってるように見えるのよね、この二人。
つか、こんなの日常的に見てれば、恋が云々言い出すようになるのは良くわかるわ。
「確かに女子にとっての一大事。ならばしばらくはこちらにおられませ。まつめが小夜殿を雇って差し上げましょう」
凛としてそう言い切ったまつさんに後光が差して見える。思わず拝みたくなってしまったけれど、
でも素性の知れない女を城に引き入れるって……褒められたことじゃないと思うけど。
「え、いいの? 素性も分からない女を引っ張り込んでもいいの?」
「ええ。貴女様の素性は、今の話で分かりましたから」
……へ? 分かったって何。私、素性が知れるようなこと一つも言ってないよ?
「川中島で武田の若武者と奥州の独眼竜が激突した際、一人の女子を巡って死闘が繰り広げられたと
聞きますれば、その女子というのは貴女の事ではないのかと」
え? 何、幸村君と政宗様がぶつかったの? 私を巡って?
それ、展開としては結構美味しいけど何で二人がそんな争いしてんのよ。っていうか、一体どういうことなの。
「ああ、独眼竜が手篭めにしようとして逃げた家臣の話か!」
ちょっと、何!? その話、こんなところにまで広まってんの!?
畜生……甲斐で馬鹿正直に言うんじゃなかった……恥じゃないの。それも一生の。
もう政宗様が恥を掻くんならどうでもいいよ。つか、実行犯だもん。それくらい恥掻いたって構いやしないっての。
でも、その家臣が私だって知れたら外歩けないじゃない。
「……うう……もう死にたい……」
がっくりと項垂れた私を、必死に慶次が宥めてくれた。
……もうヤダ、それもこれもみんなあの馬鹿主のせいだ!! 絶対しばらくは奥州に戻らない!
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