第十八話
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も良いってクチじゃないの? 初対面で口説く男は基本的に信用出来ません。
っていうかさぁ、もう少し頭使って口説こうとしないと、警戒心だけ持たれるよ?
「男の好みは結構煩いので遠慮します」
「どんな男が好みなのだ?」
利家さん、話に乗ってこないでっての。っていうか、何でそんなに興味津々なのよ。
「とりあえず、定職に就いていて、それなりにお給料稼いできてくれる人で、外見は格好良い方がいいかなぁ?
出来れば二十九よりも年上で」
「なるほど、慶次は対象外だな!」
笑顔で言った利家さんの言葉に、私の隣で慶次ががっくりと落ち込んでいた。
外見云々以外は全部外れてるしね。君。っていうか、外見以外は外れるようにして言っておいたんだもの。
「某はどうだ」
「着物着てくれるなら考えます」
その野生児スタイルは流石に無理です。政宗様よりも無理です。
そりゃ、悪い人ではないと思うけど……大体、あのバカップルぷりを見せられてて利家さんに手を出そうなんて思わないっての。
というか、そういうこと聞いて大丈夫なの? まつさんに怨まれるのは正直御免だよ。女の嫉妬ってのは面倒なんだから。
なんて考えていると何処からかしゃもじが高速で飛んできて、利家さんの頭を華麗に打ち抜いていた。
そのまま横倒しになった利家さんは身動き一つ取らずに白目を向いて倒れている。
おそらく今の会話、まつさんに聞かれていたんだろう。食事を運んできたまつさんの笑顔に、私と慶次は仲良く身体を震わせるしかなかった。
「もう、犬千代様ったら……いけませんよ? お客様をからかわれては」
未だ白目を向いて気を失っている利家さんのむき出しの太股に、まつさんが渾身の力を入れて平手打ちを喰らわせた。
断末魔とも言えるのではないかというほどの声を上げて飛び起きた利家さんの太股には、くっきりとまつさんの手形が残されている。
……怖い、怖いよ。まつさん。
このご飯、下剤とか盛ってたりしないよね? 毒とか入ってないよね?
「どうぞ、たんとお召し上がり下さいませ」
恐る恐る口に運んだものの、当然そんな心配はなかった。
それどころか料理の名人と呼ばれるだけあってかなり美味しく、私は作法も忘れてがっつくようにして食べたもんだ。
その様子を目を丸くして見ている三人には目もくれず、全員分食べる勢いで食べ続けた。
「美味い……美味いよぉ〜……」
本当、ここ最近雑草ばっかりだったから有難かった……こんな美味しいもの食べられたんなら、
もう死んでもいいや〜……いや、またミンチにされたら堪ったもんじゃない。
慶次じゃないけど恋の一つもしなけりゃ死んでも死にきれない。
泣きながら食べている私に、三人は
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