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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
問いかけ
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「あ、それじゃ俺は行くな。さー、雑用頑張らないと」
「って、ここまで言わせておいて放置なのですか!?」
「いや俺ホント、その手の話題は苦手なんで」
「音央さんからの告白を先延ばしにしている時点でなんとなく察しはついていたのですよ!って、黒ウサギはそんな人にあんないじられ方をされたのですか!?」

よく分からないことに驚愕している黒ウサギなのだが、一輝は本当にそんな黒ウサギを放置して歩き出した。そして、あと一歩離れたら走ろうと構えた瞬間、

「あ、それと・・・もう一つ、質問いいですか?」
「・・・なんだ?」
「では・・・」

再び尋ねられ逃げることのできなくなった一輝は、その場に残って黒ウサギが何か言うのを待つ。そして、

「一輝さんは、その・・・妹さんと殺し合うかもしれないということに、何も思わないのですか?」
「ああ・・・そっか、そういやそうだな。そう思うのが普通だよな。まあでも・・・」



  ========



「たぶん兄さん相手に殺すつもりで向かって勝ったとしても、殺すことは出来ないよ」
「俺は湖札相手に殺し合いをして、殺せる自信なんてないぞ」

それは、とある兄妹の言葉。

「だからこそ殺し合いになったとしても安心して刃を向けられる」
「だから、負けないように出せる限りの力を出す」

決して精神が病んでいるわけではなく。

「それに、主催者権限で共同開催のゲームになるだろうから、死んじゃったとしても箱庭のルールで強制的に生き返るし」
「まあたぶんこんな感じの文面のゲームを共同開催するから、どっちかが死んだとしても今生の分かれにはならない」

だがしかし、とある事情から他の人間とは物の感じ方が違うが故の、歪んだ答え。

「私が望んでいるのは、最後の家族と一緒にいたいってだけで、実は殿下たちに協力したいっていうのはオマケなんだ。恩があるから、兄さんを引き込みたいなーって思ってるだけで、それがもう少し小さかったら裏切って“ノーネーム”に行ってたと思う」
「俺が望むのは、最愛の妹と一緒にいたいってだけだからな。俺が向こうにつけば早いんだけど、そうするには俺には“ノーネーム(ここ)”が大切になりすぎた。だから裏切るのも心が痛むし」

そして、それは・・・

「だから、私は」
「だから、俺は」

血が繋がっていないはずの、二人の兄妹は。

「全力で兄さんを信頼して、殺すかもしれなくても戦えるよ」
「あいつの実力を信じて、本気で行っても殺さないって確信できるから、殺し合いになるかもしれなくても戦える」

どこまでも、兄妹らしかった。
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