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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
問いかけ
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けていく。
決して狙いをつけづらいようになんて考えず、むしろしっかりと狙って放たれたものをギリギリのタイミングで体を動かして避けていく。大きく避けるのではなく、むしろギリギリのところでかわすように。

一輝が予想以上に動けることに驚いたのか黒ウサギは一瞬動きを止めてから、その神の色をピンクへと変化させ、後ろに跳ぶ。その間にボウガンを腰に引っ掛けて獲物を狙撃銃に変え、自分が着地すると同時に一輝に向けて放つが、これもまたギリギリのところでかわされてしまう。

《一輝さん・・・本当に病み上がりなのですか!?》

内心意外すぎる動きに驚きながらも、しかしそこは“箱庭の貴族”。決して冷静さを失わずにコッキングレバーを動かして次弾をセットし、再び放つがそれもまた避けられる。走るスピードは一切落とさずに、だ。
そこで黒ウサギはライフルをその場に捨て、弓と矢を数本手に持って全力で上に飛ぶ。そのまま、上空からの一斉狙撃。避ければその先に矢が来るように放たれたはずのそれは、一輝がそれらの矢の隙間を器用に走り、跳ぶことで避けられてしまう。
その動きが思考によって叩き出されたものでも、経験によって得たものでもなく、直観や本能によるものであると当たりをつけた黒ウサギは、その場で弓と矢筒を捨て、木を蹴って一輝の背後に跳び下り、一輝が振り返る前にピストルの引き金を引く。しかしそれは、背を向けたまま体をそらした一輝の上を通り過ぎる。

《やはり、本能的に避けている!》

確かにそれなら身体能力が落ちていようと無視することは出来る、と理解してピストルを左手に移した黒ウサギは、右手でボウガンをとって矢を番え引き金を引く。それもまた避けられていくが、気にせずに矢を放ち続ける。初めて矢が髪に少しあたり数本を絶った時には一輝はほぼ目の前にいたが・・・

「これで、どうですか!?」

そこで、左手に持ったままであったピストルを向け、引き金を引く。
至近距離で放たれる銃弾。それは撃ってきたと認識したときには既に当たっているはずのものだが・・・しかし、一輝はまたそれをギリギリのタイミングで避ける。そして、握った拳を黒ウサギの目の前に放ち、

「・・・うん、反射神経は落ちてないな。サンキュー、黒ウサギ。かなり助かった」
「い、いえ、お役に立てたのならうれしいのですが・・・なぜ、このようなことを?実戦であれば、武器で防ぐものですのに・・・」
「あー、まあそうなんだけどな。俺も実際、獅子王とかスレイブで切り落としてただろうし」

と、一輝が黒ウサギから武器を受け取っては倉庫にしまっていると、視線の先に十六夜がいることに気付いた。唇を噛み、表情を殺した姿は、ずっと二人の様子を見ていたのかもしれない。
ずっと黒ウサギの背後を見ている一輝を不審に思ったのか、黒ウサギは
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