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艦隊これくしょん  History Of The Fleet Girl's Wars
ブリーフィング
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を配する以上、敵の機動部隊が動いた段階としようと思う」
 「そうなると敵の残存戦力を測ることができませんね」
 「ああ。それが今回の作戦のもっとも躓きやすいポイントだ」
 金剛以外の強襲実行部隊が暗い顔になる。自分たちの突っ込む先にどのくらいの戦力がいて、自分体がどの程度の戦いを覚悟しなくてはならないのか、部隊としては極めて重要な情報である。
 「しかし、何も無策なわけではない。先行させている潜水艦たちは情報収集と戦闘開始と同時に敵後方のかく乱も行う。強襲部隊は真っ直ぐ陸棲型に向かってくれ」
 赤城は納得とも取れないような表情だ。しかし、金剛はいたって平気そうに、ファーストの皆さんには危なくなったら来てもらうヨ!と言うだけだった。
 「あと、トラック島には俺も行く」
 「は?何言っておるんじゃ、提督!」
 「テートク、危ないヨ!?」
 「お前ら行かせて、俺だけここのこっちゃダメだろ」
 露骨に心配そうな顔をした金剛たちをなだめるためにそんなことを言ったが、自分でも今回の作戦の無茶さはよく分かっているのだ。だからこそ
 「トラック島で前線指揮を俺はとるが、お前たちははるか遠くのソロモンまで行く。俺はお前たちを戦地に送り出すことしかできん、それはかわらんが、少しでも近くでお前らと戦いたい。わかってくれ」
 「ぬ。一回言ったら聞かないんだから、困るネ、提督は」
 「すまんな」
 金剛はやれやれと肩をすくめながら、すぐ帰りますからネ、としぶしぶ頷いていた。
 「というわけで、今回のブリーフィングは終了とする。細かい指示は後々下す」
 全員が起立し、敬礼した。その時、比叡の伏しがちな目にようやく気付く。鉛でも下げているかのように重そうなその目線は、いつも水平から45°上しか見ていない彼女のそれとは異なっていた。
 「あ、おい・・・」
しかし、声をかける間もなく、彼女は部屋を後にした。
 強烈に現実に戻されたような気がしてふと外を見遣ると、外では駆逐艦娘たちが汗を流しながら走り込みを行っている。蝉はいなくなっていた。
 「アイツ・・・」
 

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