暁 〜小説投稿サイト〜
艦隊これくしょん History Of The Fleet Girl's Wars
ブリーフィング
[3/6]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
!」
赤面している妹をセクハラから救おうとすかさずの比叡のツッコミである。さっきの怯えはどこかに吹き飛んだ様子だ。一同から笑い声が起きる。おもしろいが、かまわず続けた。
「陸棲型が出てきたということは敵方がこちらの最東端基地であるポートモレスビーに対してのど元の刃を突きつけてきたのと同じことだ」
笑いは消え、全員が考え込む様子。見た目はかわいらしいが、その目つきはまさしく軍人のものである。
「せっかく苦労して解放したこの地域、手放すわけにはいかないですね・・・」
赤城がぼやく。加賀も同調して首を縦に振っている。かつての一航戦にとっては栄光の半年間のうち数少ない機動部隊の戦略的敗北の場所である、珊瑚海の近くであり、因縁を感じているようだ。
「ああ、赤城。俺もそのつもりだ」
赤城が静かに頷く。食事の時間以外はやはり武人である。
「今なにか聞こえたような・・・?」
「モノローグ読むのやめてもらっていいですか!?」
比叡は不憫な役回りである。艦隊全員分のツッコミ担当と化して来ているのだ。
「提督、なぜこのタイミングなのじゃ?わしらはまだ戦闘態勢の整え直しを図れたわけではなかろう?それは大本営といえど理解できるはずじゃ。今この時期に敵の予期せぬ電撃戦を仕掛けようとも物量は向こうが圧倒的なのじゃ、押し負けるに決まっておろう?」
利根が疑問をぶつけてくる。こういったブリーフィングの席ではどんどんと質問が飛び交った方が後々お互いにやりやすくあるため、いくらでもしていいことになっている。
利根の疑問は至極まっとうである。特に、かつての帝国海軍の行った真珠湾攻撃と栄光の半年間の電撃戦は今となっては間違いであったことがはっきりとしてしまっている、今となって、その当事者たちには準備不足の下での作戦の危険は痛いほど感じられるはずだ。確かに他に選択肢が無いとしても、圧倒的な物量を誇る相手に対して戦うには粘り強いゲリラ戦術をとる、もしくは型破りな戦略の継続こそが勝利への定石である。前者を行うには日本は大きすぎる国家であり、後者を行うには資源も何もかも不足している。つまり、敵の前線基地が完成しても、何もしないで戦力の充実を図るか、奇策を用いての敵戦力の駆逐を行ったうえで攻勢限界を迎えて全滅かの二択しかこちらにはないのだ。
もちろん、この場にいる鎮守府の主力メンバーはそれをよく理解している。だからこそ、この状況を自分たちの退路が立たれたことをよく理解できていた。
「比叡、なんて言われた?」
「それがですね、何とも言いづらいのですが・・・。先日の首相の発言で、アジア対深海棲艦という構図づくりを進めるとか言って戦略の大幅な変更を迫られたらしいんですよ」
峰もこの話は知っていた。先日、首相はASEANとの本格的な交易拡大に向けた演説で、アジア全体の
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ